February 17, 2000 Vol. 342 No. 7
授乳中の過体重女性における減量が乳児の成長に与える影響
The Effect of Weight Loss in Overweight, Lactating Women on the Growth of Their Infants
C.A. LOVELADY, K.E. GARNER, K.L. MORENO, AND J.P. WILLIAMS
妊娠中に増加した体重が維持されることが肥満の一因となる可能性がある.授乳は体重減少を促進させるはずであるが,授乳中の女性の体重減少には大きな変動がみられる.また,授乳期間中にエネルギー摂取を制限することに関連したリスクについては,適切な評価が行われていない.本試験の目的は,授乳期間中の女性が減量することが,その乳児に影響が及ぶかどうかを調べることであった.
母乳で育児中の,分娩後 4 週目の時点で過体重(体格指数:BMI [体重 {kg} を身長 {m} の 2 乗で割った値] が 25~30 と定義した)であった女性 40 例を,エネルギー摂取を 1 日当り 500 kcal だけ減らして 45 分間の運動を 1 週間に 4 日間行う生活(節食・運動併用群),または普段の食事を続けて 1 週間に 1 回以上の運動は行わない生活(対照群)に無作為に割り付け,10 週間観察をおこなった.女性の体重と脂肪量,およびその乳児の体重と身長を,試験開始前,試験期間中,および試験終了時に測定した.
節食・運動併用群の平均(±SD)のエネルギー摂取は,1 日当り 544±471 kcal 減少していた.節食・運動併用群の女性は,対照群と比較して,体重(4.8±1.7 kg 対 0.8±2.3 kg,p < 0.001)および脂肪量(4.0±2.0 kg 対 0.3±1.8 kg,p < 0.001)の減少が大きかった.母親が節食・運動併用群の乳児の体重および身長の増加(それぞれ 1,925±500 g および 7.8±2.0 cm)には,母親が対照群の乳児の増加(それぞれ 1,861±576 g および 7.3±1.7 cm)との有意な差は認められなかった.
母乳のみで育児をしている過体重の女性では,分娩後 4~14 週目までの期間に体重を 1 週間に 0.5 kg 程度減量しても,その乳児の成長には影響を及ぼさない.