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February 24, 2000 Vol. 342 No. 8

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骨随のサイトケラチン陽性細胞と第 I 期,第 II 期 または第 III 期乳癌患者の生存
Cytokeratin-Positive Cells in the Bone Marrow and Survival of Patients with Stage I, II, or III Breast Cancer

S. BRAUN AND OTHERS

背景

サイトケラチンは,骨髄の上皮性癌細胞の特異的なマーカーである.今回,われわれは,乳癌女性の予後に及ぼす骨髄のサイトケラチン陽性微小転移巣の影響について評価した.

方 法

腫瘍の完全切除を受けた乳癌の第 I 期,第 II 期,または第 III 期の患者 552 例,および非悪性疾患の患者 191 例の両側上腸骨稜から骨髄を吸引,採取した.採取した骨髄検体は,サイトケラチン抗原に結合するモノクローナル抗体 A45-B/B3 で染色した.追跡調査期間の中央値は 38 ヵ月(範囲,10~70 ヵ月)であった.主要エンドポイントは生存とした.

結 果

サイトケラチン陽性細胞は,非悪性疾患の対照患者 191 例のうち 2 例(1%)と乳癌患者 552 例のうち 199 例(36%)の骨髄検体から検出された.骨髄の潜在性転移細胞の存在は,リンパ節転移の有無とは無関係であった(p = 0.13).この骨髄における微小転移巣の存在は,4 年間の追跡調査後には,臨床的に明らかな遠隔転移巣の出現および癌に関連した原因による死亡との関連が認められたが(p < 0.001),局所再発との関連は認められなかった(p = 0.77).潜在性転移細胞が検出された 199 例の乳癌患者では,そのうちの 49 例が癌で死亡したが,この細胞が検出されなかった 353 例の乳癌患者では,癌に関連した原因による死亡は 22 例であった(p < 0.001).リンパ節転移が認められなかった 301 例の女性については,骨髄に微小転移巣が存在していた 100 例のうちの 14 例が癌に関連した原因によって死亡したのに対して,骨髄に転移巣が認められなかった 201 例の癌関連死は 2 例だけであった(p < 0.001).骨髄における潜在性転移細胞の存在は,全身補助的抗腫瘍化学療法の実施で補正しても,これらが存在していないことと比較したときの癌死のリスクの独立した予後指標の一つであった(相対危険度,4.17;95%信頼区間,2.51~6.94;p < 0.001).

結 論

乳癌の I 期,II 期,あるいは III 期の患者では,骨髄における潜在性サイトケラチン陽性転移細胞の存在が再発のリスクを上昇させている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 525 - 33. )