The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

February 24, 2000 Vol. 342 No. 8

オレゴン州尊厳死法による医師側の体験
Physicians' Experiences with the Oregon Death with Dignity Act

L. GANZINI AND OTHERS

背景

 オレゴン州では 1997 年 10 月に医師による幇助自殺が法制化された.致死薬の処方を受けて,その薬物を服薬して死亡した患者については,そのデータが蓄積されている.しかしながら,自殺の幇助を依頼された医師側の体験については,その情報がほとんど得られていない.

方 法

 1999 年の 2 ~ 8 月に,オレゴン州尊厳死法(the Oregon Death with Dignity Act)のもとで致死薬の処方資格を有していた医師に質問票を郵送した.

結 果

 この有資格医師 4,053 人のうちの 2,649 人(65%)から調査票を回収することができた.これらの回答者のうち 144 人(5%)が,1997 年の 10 月以降に,合計で 221 件の致死薬の処方依頼を受けていた.今回の研究では,165 例の患者の転帰についての情報を入手することができた(143 例の患者については完全な情報,22 例については一部の情報が得られた).患者の平均年齢は 68 歳であった; これらの患者の 76%は余命が 6 ヵ月未満と予想されていた.35%は他の医師にも処方を依頼していた.そして,29 例(18%)の患者が処方を受け,17 例(10%)がその処方薬を服薬して死亡していた.また,情報が得られた患者の 20%にはうつ病の症状が現れていた; これらの患者には致死薬の処方を受けた患者は 1 例もいなかった.致死薬の処方を受けていた 11 例と処方薬を服薬して死亡した 8 例を含む 68 例の患者については,疼痛や他の症状の管理,ホスピスプログラムへの紹介,他の医師への相談,あるいは抗うつ薬の試験的投与などの実質的な緩和的介入が,医師によって少なくとも 1 回は行われていた.このような実質的な介入が行われた患者では,その 46%が幇助自殺の決心を覆したのに対して,実質的な介入がまったく行われなかった患者では,決心を変えたのは 15%にすぎなかった(p < 0.001).

結 論

 今回の解析結果データは,オレゴン州では,医師の致死薬の処方は約 6 件の処方依頼に対して 1 件であり,実際に自殺に至るのは 10 件の処方依頼に対して 1 件であることを示している.また,そのすべての患者ではないにせよ,実質的な緩和的介入によって患者の一部は幇助自殺の決心を変えている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 557 - 63. )