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日本語アブストラクト

March 23, 2000 Vol. 342 No. 12

胸痛があるものの冠動脈造影像が正常な女性における心筋の p-31 核磁気共鳴分光器の異常所見
Abnormal Myocardial Phosphorus-31 Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy in Women with Chest Pain but Normal Coronary Angiograms

S.D. BUCHTHAL AND OTHERS

背景

 胸痛による入院では,女性は,男性よりも冠動脈造影像が正常であることが多いようである.このような女性では,臨床的に意味のある冠動脈閉塞が存在しないような心筋虚血ではないかと,長いあいだ思われてきた.しかしながら,心筋虚血による心筋代謝への影響を検出する方法のほとんどが非常に侵襲性の高いものである.P-31 核磁気共鳴(31P-NMR)分光器は,心筋の高エネルギーリン酸塩を直接測定することができ,心筋代謝に現れる虚血の根拠を確認することができる非侵襲的な技法である.

方 法

 胸痛のために入院したものの,血管造影像では重大な冠動脈閉塞の所見が認められなかった女性 35 例と,これらの女性と年齢および体重がマッチした心疾患の所見がまったく認めらなかった女性 12 例を,本試験に組み入れた.最大随意握力の 30%のレベルで等尺性握力運動を実施する前,実施中,および実施後に,31P-NMR 分光器を用いて,心筋の高エネルギーリン酸塩を,磁束密度を 1.5 テスラとして測定した.そして,運動中の ATP に対するクレアチンリン酸の比の変化を評価した.

結 果

 血管造影像では重大な狭窄が認められなかった胸痛のある女性 35 例中 7 例(20%)において,握力運動中のクレアチニンリン酸: ATP の比が,胸痛のない対照被験者の平均値よりも 2 SD 以上低下した.安静時および握力運動中の血行動態変数,虚血性心疾患の危険因子,心臓の磁気共鳴画像法(MRI)および放射線核灌流試験の検査所見,あるいはアセチルコリン注入中の上腕血流量の変化には,2 群間に有意な差は認められなかった.

結 論

 今回の結果は,心筋虚血の発生に一致した胸痛を有するものの,血管造影像では重大な冠動脈狭窄が認められない女性の少なくとも何割かにおいて,握力運動に対する心筋代謝の異常反応を直接的に示した証拠を提供するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 829 - 35. )