The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 6, 2000 Vol. 342 No. 1

母親の赤血球同種免疫による胎児の貧血に対する超音波ドップラー法による非侵襲的な診断
Noninvasive Diagnosis by Doppler Ultrasonography of Fetal Anemia Due to Maternal Red-Cell Alloimmunization

G. MARI

背景

 母親の赤血球同種免疫による貧血のリスクがある胎児の診断と治療には,羊水穿刺や臍帯穿刺法のような侵襲的な方法が用いられている.本試験の目的は,胎児の貧血の診断における,中大脳動脈の血流速度の非侵襲的な測定法を評価することであった.

方 法

 母親の赤血球同種免疫による貧血のリスクがあった 111 例の胎児について,臍帯穿刺法によって採取した血液の血色素濃度を測定するとともに,中大脳動脈の収縮期血流の最高速度を測定した.最高収縮期速度はドプラー速度計で測定した.貧血の胎児を識別するために,貧血のリスクがあった胎児の血色素の値を,265 例の正常胎児の血色素の値と比較した.

結 果

 胎児の血色素濃度は,265 例の正常胎児では,在胎期間が長くなるにつれて上昇した.貧血のリスクがあった 111 例の胎児のうち,41 例の胎児には貧血は認められなかったが,35 例が軽度の貧血,4 例が中等度の貧血,水症を合併していた 12 例を含む 31 例が重度の貧血であった.中大脳動脈の収縮期血流の最高速度の上昇の,中等度または重度貧血の予測としての感度は,水症を合併している胎児あるいは合併していない胎児のいずれにおいても 100%であり(95%信頼区間,水症を合併していなかった 23 例の胎児では 86 ~ 100%),その偽陽性率は 12%であった.

結 論

 母親の赤血球同種免疫が原因の貧血のリスクがあり,水症を合併していない胎児において,中等度および重度の貧血は,中大脳動脈の収縮期血流の最高速度が上昇するということから,超音波ドプラー法によって非侵襲的に検出することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 9 - 14. )