October 12, 2000 Vol. 343 No. 15
喘息の小児におけるブデソニドまたはネドクロミルの長期効果
Long-Term Effects of Budesonide or Nedocromil in Children with Asthma
THE CHILDHOOD ASTHMA MANAGEMENT PROGRAM RESEARCH GROUP
喘息の小児には,コルチコステロイドの吸入やネドクロミル(nedocromil)のような,抗炎症治療が推奨されているが,その長期使用に関する情報は限られている.
年齢が 5~12 歳の軽症~中等症の喘息の小児 1,041 例を,ブデソニドの 200 μg(311 例),ネドクロミルの 8 mg(312 例),プラセボ(418 例)のいずれかの 1 日 2 回投与に,無作為に割り付けた.参加した患児を 4~6 年間治療した.喘息症状に対しては,どの児にもアルブタロールを投与した.
主要転帰,すなわち気管支拡張薬投与後の 1 秒量(FEV1,予測標準値の%割合として表示)の変化の程度については,ブデソニドにもネドクロミルにも,プラセボとの有意差は認められなかった.しかし,ブデソニドの治療に割り付けられた小児は,プラセボに割り付けられた小児と比較して,気管支拡張薬投与前の努力肺活量(FVC,%割合で表示)に対する FEV1 の比の低下が有意に小さかった(FEV1:FVC の低下,0.2% 対 1.8%).また,ブデソニドの治療を受けた小児は,メタコリンに対する気道過敏性が低く,入院回数も少なく(100 人年当り 2.5 対 4.4),急患で訪れることも少なく(100 人年当たり 12 対 22),喘息症状に対するアルブタロールの必要性もはるかに減少し,プレドニゾンの治療コースも少なく,追加の喘息治療薬を要した日数の割合も小さかった.ネドクロミルでは,プラセボと比較して,急患での来院(100 人年当り 16 対 22)とプレドニゾンの治療コースが有意に減少した.身長の伸びの平均値は,ブデソニド群がプラセボ群よりも 1.1 cm 少なかった(22.7 cm 対 23.8 cm,p = 0.005);この差は,治療開始後からほぼ 1 年以内に明らかになった.ネドクロミル群では,身長の伸びはプラセボ群と同程度であった.
軽症~中等症の喘息の小児において,ブデソニドもネドクロミルも,肺機能の改善に関してはプラセボより優れてはいないが,ブデソニドの吸入は,気道過敏性を抑制し,プラセボやネドクロミルよりも喘息コントロールに優れている.ブデソニドの副作用は,発育速度におけるわずかな,一過性の低下のみである.