October 12, 2000 Vol. 343 No. 15
喘息の小児における吸入ブデソニド長期治療の成人時身長に及ぼす影響
Effect of Long-Term Treatment with Inhaled Budesonine on Adult Height in Children with Asthma
L. AGERTOFT AND S. PEDERSEN
コルチコステロイドの吸入によって喘息の小児の成長が抑えられる可能性があるということが,短期試験で示されている.しかしながら,その長期治療が成人身長に及ぼす影響については確認されていない.
吸入ブデソニドの長期治療が成人身長に及ぼす影響を調べることを目的として,喘息の小児を対象とした前向きの研究を行った.今回は,成人身長に達した 211 例の小児ついて報告する:小児の内訳は,ブデソニドの治療を受けた喘息の患児が 142 例,吸入コルチコステロイドの治療を一度も受けたことのない喘息の対照患児が 18 例,残りの 51 例はブデソニド群の患児の健康な兄弟であった.なお,この兄弟は対照としても使用した.
ブデソニド群の患児は,成人身長に到達するまでに,平均で 9.2 年間(範囲,3~13 年間)のブデソニドの治療を受けており,ブデソニドの平均 1 日投与量は 412 μg(範囲,110~877 μg)であった.また,ブデソニドの平均累積投与量は 1.35 g(範囲,0.41~3.99 g)であった.成人身長の測定値と目標値の差の平均は,ブデソニド治療患児が +0.3 cm(95%信頼区間,-0.6~+1.2),喘息の対照患児が -0.2 cm(95%信頼区間,-2.4~+2.1),健康な兄弟が +0.9 cm(95%信頼区間,-0.4~+2.2)であった.成人身長は,ブデソニド治療開始前における小児の身長に,有意に依存していた(p<0.001).ブデソニドの治療開始後 1 年目までには発育速度が有意に低下したものの,発育速度の変化と成人身長とのあいだに有意な関連は認められらなかった.
喘息の小児が,ブデソニドの長期治療を受けても,標準の成人身長に到達する.