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October 19, 2000 Vol. 343 No. 16

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妊娠糖尿病の女性におけるグリブリドとインスリンとの比較
A Comparison of Glyburide and Insulin in Women with Gestational Diabetes Mellitus

O. LANGER, D.L. CONWAY, M.D. BERKUS, E.M.-J. XENAKIS, AND O. GONZALES

背景

妊娠糖尿病の女性は,催奇形性と新生児低血糖症の懸念があるために,スルホニル尿素薬で治療を行うことはまれである.このような女性の患者群におけるスルホニル尿素薬の有効性については,ほとんど情報が得られていない.

方 法

単生児妊娠中に治療の必要な妊娠糖尿病を発症した 404 例の女性を対象とした試験を行った.これらの女性を,妊娠 11~33 週目に,強化治療プロトコールに従ってグリブリド(glyburide)またはインスリンの治療に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,血糖管理における適切な血糖レベルへの到達とした.副次的エンドポイントには母親および新生児の合併症を含めた.

結 果

自宅で測定した治療開始前の 1 週間の平均(±SD)血糖値は,グリブリド群が 114±19 mg/dL(6.4±1.1 mmol/L),インスリン群が 116±22 mg/dL(6.5±1.2 mmol/L)であった(p = 0.33).治療中の平均血糖値は,グリブリド群が 105±16 mg/dL(5.9±0.9 mmol/L),インスリン群が 105±18 mg/dL(5.9±1.0 mmol/L)であった(p = 0.99).なお,グリブリド群の 8 例(4%)の女性にはインスリン療法が必要であった.グリブリド群とインスリン群の在胎週数に比して大きかった新生児の割合(それぞれ,12%および 13%),出生体重が 4,000 g 以上と定義した巨大児の割合(7%および 4%),肺合併症を有していた新生児の割合(8%および 6%),低血糖症が現れた新生児の割合(9%および 6%),新生児集中治療室で管理された新生児の割合(6%および 7%),胎児性形成異常であった新生児の割合(2%および 2%)には,有意な差は認められなかった.また,2 群の臍帯血血清中のインスリン濃度も同程度であり,グリブリド群には,臍帯血血清中にグリブリドが検出された新生児はいなかった.

結 論

妊娠糖尿病の女性において,グリブリドは,臨床的に有効なインスリンの代替療法である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1134 - 8. )