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October 26, 2000 Vol. 343 No. 17

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完全に切除された II 期または IIIa 期の非小細胞肺癌の患者を対象とした術後補助療法の無作為試験
A Randomized Trial of Postoperative Adjuvant Therapy in Patients with Completely Resected Stage II or IIIA Non–Small-Cell Lung Cancer

S.M. KELLER AND OTHERS

背景

完全に切除された II 期または IIIa 期の非小細胞肺癌(NSCLC)の患者を対象として,生存期間の延長および局所再発の予防に関し,多剤化学療法と胸部放射線療法の併用治療が胸部放射線療法の単独治療よりも優れているのかどうかということを調べるために,無作為試験を実施した.

方 法

手術所見に基づく病期決定と腫瘍切除(通常は,肺葉切除術または肺切除術)の後に,患者を無作為に割り付け,シスプラチン(1 日目に体表面積当り 60 mg/m2 の静注)とエトポシド(1,2,3 日目に体表面積当り 120 mg/m2 の静注)による 4 サイクルの 28 日間の治療と放射線療法(総照射量を 50.4 Gy とし,28 日間分割照射)の同時併用,あるいは放射線療法(総照射量を 50.4 Gy とし,28 日間分割照射)の単独治療のいずれかを行った.

結 果

本試験に組み入れられた 488 例の患者のうち,242 例が放射線療法の単独治療に,246 例が化学療法と放射線療法の併用治療に割り付けられた.追跡調査期間は,中央値で 44 ヵ月間であった.治療に関連した死亡率は,放射線療法の単独治療群が 1.2%,化学療法と放射線療法の併用治療群が 1.6%であった.生存期間の中央値は,放射線療法の単独治療群が 39 ヵ月間,化学療法と放射線療法の併用治療群が 38 ヵ月間であった(log-rank 検定,p=0.56).放射線療法の単独治療に割り付けられた患者に対して,化学療法と放射線療法の併用治療に割り付けられた患者の相対生存確率は 0.93(95%信頼区間,0.74~1.18)であった.照射領域における胸郭内の局所再発は,放射線療法の単独治療群では 234 例中の 30 例(13%),化学療法と放射線療法の併用治療群では 236 例中の 28 例(12%)に認められた(p=0.84);なお,18 例の患者については,再発のデータを入手することができなかった.

結 論

完全に切除された II 期または IIIa 期の非小細胞肺癌の患者において,放射線療法とシスプラチンおよびエトポシドの化学療法の併用補助療法は,放射線療法の単独補助療法と比較して,胸郭内の局所再発のリスクを低下させることも,生存期間を延長させることもない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1217 - 22. )