The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

October 26, 2000 Vol. 343 No. 17

低酸素症に応答した呼吸調節反応に対するモルヒネの髄腔内投与の影響
Effects of Intrathecal Morphine on the Ventilatory Response to Hypoxia

P.L. BAILEY AND OTHERS

背景

 モルヒネの髄腔内投与は,強力な鎮痛作用が得られるものの,呼吸を抑制し,その抑制作用は生命を脅かす可能性がある.しかしながら,モルヒネの髄腔内投与が,低酸素症に対する呼吸調節反応に悪影響を及ぼすのかどうかということについてはわかっていない.

方 法

 30 例の男性を,二重盲検法による三つの試験治療のうちの一つに無作為に割り付けた: プラセボの髄腔内投与を伴ったモルヒネの静脈内投与(体重当り 0.14 mg / kg);プラセボの静脈内投与を伴ったモルヒネの髄腔内投与(0.3 mg);プラセボの静脈内投与と髄腔内投与.モルヒネの静脈内投与と髄腔内投与で設定した用量は,同程度の鎮痛作用が得られる用量であった.高炭酸ガス血症に対する呼吸調節反応,炭酸ガスが過剰になっている呼吸のときに現れる急性低酸素症に対する続発反応(標的呼気終末酸素分圧と炭酸ガス分圧,45mm Hg),および血漿中のモルヒネとその代謝物の濃度を,ベースライン時(薬剤の投与前)と,薬剤の投与後 1,2,4,6,8,10,および 12 時間目の時点で測定した.

結 果

 試験開始時の低酸素症に対する呼吸調節反応の平均(± SD)値(低酸素症の 2 分目の分時換気量と高炭酸ガス換気の 5 分目の分時換気量の差として算出した)は,3 群間で同程度であった: すなわち,プラセボ群では 38.3 ± 23.2 L / 分,モルヒネの静脈内投与群では 33.5 ± 16.4 L / 分,モルヒネの髄腔内投与群では 30.2 ± 11.6 L / 分であった(p = 0.61).低酸素症に対する呼吸調節反応の総反応量(曲線下面積)は,モルヒネの静脈内投与(20.2 ± 10.8 L / 分)とモルヒネの髄腔内投与(14.5 ± 6.4 L / 分)が,プラセボ(36.8 ± 19.2 L / 分)よりも有意に小さかった(p = 0.003).治療後 12 時間目の時点における低酸素症に対する呼吸調節反応は,プラセボ群(40.9 ± 19.0 L / 分)と比較して,モルヒネの髄腔内投与群(19.9 ± 8.9 L / 分)は有意に抑制されたままであったが,モルヒネの静脈内投与群(30.5 ± 15.8 L / 分)では抑制は認められなかった(モルヒネの髄腔内投与とプラセボの比較,p = 0.02).血漿中のモルヒネとその代謝物の濃度は,髄腔内投与では,検出不能あるいは静脈内投与よりもはるかに低かった.

結 論

 モルヒネの髄腔内投与後に現れる低酸素症に対する呼吸調節反応の抑制は,同等の鎮痛作用が得られる用量のモルヒネを静脈内投与したときと程度は同程度であるが,持続時間は静脈内投与よりも長い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1228 - 34. )