The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

November 9, 2000 Vol. 343 No. 19

DNA 修復遺伝子 MGMT の不活化と神経膠腫のアルキル化剤に対する臨床効果
Inactivation of the DNA - Repair Gene MGMT and the Clinical Response of Gliomas to Alkylating Agents

M. ESTELLER AND OTHERS

背景

 DNA 修復酵素の O6-メチルグアニン-DNA メチルトランスフェラーゼ(MGMT)は,アルキル化剤による腫瘍細胞の殺細胞作用を阻害する.MGMT の活性はプロモータによって制御されている; 癌では,このプロモータのメチル化によってこの遺伝子の発現が抑制され,癌細胞はもはや MGMT を産生しない.今回,われわれは,神経膠腫において,MGMT プロモータのメチル化がアルキル化剤に対する腫瘍の反応性に関係しているのかどうかについての検討を行った.

方 法

 腫瘍 DNA のなかの MGMT プロモータを,メチル化に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて分析した.神経膠腫の検体は,カルムスチン(carmustine)(1, 3-ビス(2-クロロエチル)-1-ニトロソウレア,BCNU)の治療を受けた患者から採取した.得られた分子的データは,臨床転帰との相関関係についての検討を行った.

結 果

 MGMT プロモータは,47 例の患者のうちの 19 例(40%)から採取した神経膠腫でメチル化されていた.この結果は,腫瘍の縮小と,全生存期間および無病生存期間の延長と関連していた.この MGMT プロモータのメチル化は,他の影響を受けない独立した予後因子であり,年齢,病期,腫瘍の悪性度,あるいは一般状態(PS)よりも強力な予後因子であった.

結 論

 神経膠腫における MGMT プロモータのメチル化は,アルキル化剤に対する腫瘍の反応性の有用な予測因子の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1350 - 4. )