The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

November 9, 2000 Vol. 343 No. 19

男性におけるヒトヘルペスウイルス 8 の粘膜への出現
Mucosal Shedding of Human Herpesvirus 8 in Men

J. PAUK AND OTHERS

背景

 疫学研究から,ヒトヘルペスウイルス 8(HHV-8)が,男性間で性的関係を持っている者のあいだで,性行為を通じて伝播することが示唆されている; しかしながら,その伝播の様式については不明である.

方 法

 HHV-8 の出現パターンを評価するために,男性との性的関係があり,カポジ肉腫の臨床症状が全く発現していなかった HHV-8 血清陽性男性のコホートから粘膜分泌物の検体を採取した.感染性 HHV-8 の潜在的感染源の同定には,定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法,in situ PCR 法,および in situ RNA ハイブリッド形成法を用いた.

結 果

 HHV-8 血清陽性であった 50 例の男性のうちの 30 例(60%)は,採取した粘膜検体の少なくとも 1 検体において HHV-8 が検出された.全体では,肛門および生殖器から採取した検体の 1%で HHV-8 が検出されたのに対し,口腔咽頭から採取した検体では 30%に HHV-8 が検出された(p < 0.001).HHV-8 血清陽性男性の 39%において,連続した検体採取日のうちの 35%を超える採取日の唾液に HHV-8 が検出された.口腔から採取した検体の HHV-8 の対数ウイルス量の中央値は,他のすべての部位から採取した検体のウイルス量の約 2.5 倍と,大きかった.In situ ハイブリッド形成法の結果からは,口腔の上皮細胞に HHV-8 の DNA とメッセンジャー RNA(mRNA)が存在していることが示された.男性との性的関係があり,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清陰性であった 92 例の男性においては,カポジ肉腫のパートナーとの性的関係,HIV 陽性のパートナーとの濃厚なキス,および亜硝酸アミルのカプセル(“ポッパー”)や亜硝酸塩の吸入薬の使用が,HHV-8 感染の独立した危険因子であった.

結 論

 男性と性的関係をもっている男性では,感染力のある唾液への口腔内での曝露が,HHV-8 に感染する一つの潜在的危険因子である.したがって,現在推奨されている性行為の安全対策は,HHV-8 感染の予防にはならない可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1369 - 77. )