The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 16, 2000 Vol. 343 No. 20

静脈血栓塞栓症の病歴を有する妊娠女性におけ るヘパリン中止の安全性
Safety of Withholding Heparin in Pregnant Women with a History of Venous Thromboembolism

P. BRILL-EDWARDS AND OTHERS

背景

 静脈血栓塞栓症の病歴を有する女性は,妊娠中に静脈血栓塞栓症のイベントが発生するリスクが高い可能性がある.これらの女性に対して分娩前の期間にヘパリンを投与するか中止するかの決定は,分娩前にヘパリンの投与を中止したときに血栓塞栓症のイベントが再発する頻度の正確な推定値が得られていないために,意見がわかれている.

方 法

 静脈血栓塞栓症の既往が 1 回あった 125 例の妊婦を対象として,プロスペクティブな検討を行った.分娩前のヘパリンの投与は中止したが,分娩後 4 ~ 6 週間にわたって抗凝固薬療法を行った.主目的は,分娩前における静脈血栓塞栓症の再発率を求めることであった.血栓性素因を同定するための臨床検査は,95 例の女性において行った.

結 果

 これらの 125 例の女性のうち,分娩前に静脈血栓塞栓症の再発が確認されたのは 3 例(2.4%)であった(95%信頼区間,0.2 ~ 6.9%).血栓性素因を示すような検査結果がなく,しかも既往の血栓症のエピソードが一時的な危険因子に関連したものであった 44 例の女性には,再発は認められなかった.検査結果が異常であった女性,特発性血栓症のエピソードの既往を有する女性,あるいはその両方であった女性の 51 例においては,分娩前に静脈血栓塞栓症の再発が認められたのは 3 例(5.9%)であった(95%信頼区間,1.2 ~ 16.2%).

結 論

 静脈血栓塞栓症の既往を有する女性において,分娩前に静脈血栓塞栓症が再発するリスクは低いので,分娩前に一般的に行われているヘパリンの予防投与は妥当性がない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1439 - 44. )