November 23, 2000 Vol. 343 No. 21
難治性のヘルペス後神経痛に対するメチルプレドニゾロンの髄腔内投与
Intrathecal Methylprednisolone for Intractable Postherpetic Neuralgia
N. KOTANI AND OTHERS
難治性のヘルペス後神経痛には有効な治療がない.ヘルペス後神経痛には炎症要素が含まれているという根拠があるので,ヘルペス後神経痛の患者を対象として,疼痛の軽減を目的としたメチルプレドニゾロンの髄腔内投与の治療についての評価を行った.
本試験では,最低 1 年間にわたって難治性のヘルペス後神経痛に悩まされていた 277 例の患者を組み入れ,そのうちの 270 例に対して 2 年間の追跡調査を行った.これらの患者を,1 週間に 1 回,4 週間実施するメチルプレドニゾロンとリドカインの髄腔内投与(3%リドカイン 3 mL および酢酸メチルプレドニゾロン 60 mg,89 例),リドカイン単剤の髄腔内投与(3%リドカイン 3 mL,91 例),または無治療(90 例)に無作為に割り付けた.薬剤は,1 週ごとに腰椎の髄腔内注入にて投与した.疼痛の評価は,無作為化の前,治療期間の終了時,および終了後 4 週間目,1 年目,および 2 年目に行った.インターロイキン 8(IL-8)を測定するために,脳脊髄液(CSF)検体を治療期間の開始前と終了時に採取した.
治療期間中および終了後における疼痛の程度の変化は,リドカイン単独群および対照群では最小限のものであった.メチルプレドニゾロン+リドカイン群では,疼痛の強度と範囲が減少するとともに,治療終了後 4 週間目における非ステロイド系抗炎症剤であるジクロフェナクの使用が>70%減少した.メチルプレドニゾロンの髄腔内投与に関連した合併症はまったく観察されなかった.治療前の時点では,すべての患者において,脳脊髄液中のインターロイキン 8 濃度と,神経痛の持続期間とのあいだに負の相関が認められた(r = -0.49,p<0.001).メチルプレドニゾロンの投与を受けた患者では,インターロイキン 8 の濃度が 50%低下したが,この低下は神経痛の持続期間および全般的な疼痛緩和の程度と相関していた(どちらの比較においても p<0.001).
この試験結果は,メチルプレドニゾロンの髄腔内投与が,ヘルペス後神経痛の有効な治療の一つであるということを示している.