The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 30, 2000 Vol. 343 No. 22

生物医学研究において利害対立を開示する方針についての全国調査
A National Survey of Policies on Disclosure of Conflicts of Interest in Biomedical Research

S.V. MCCRARY AND OTHERS

背景

 利害衝突の対立は,科学研究の潔白性に脅威をもたらしている.米国公衆衛生局と全米科学財団の現行の規則では,大学の医学部とその他の研究所は,研究費を提供している機関に対して,利害の対立が存在するかどうかを報告しなければならないが,この対立を施設内で管理することが許されている.これらの規則では,その方法については規定されていない.

方 法

 利害の対立に関する方針を分析するために,米国国立衛生研究所または全米科学財団から授与されている年間研究費の総額が 500 万ドルを超えていたすべての大学医学部(127 校)と他の研究所(170 施設),さらに,基礎科学と臨床医学の 48 雑誌と連邦機関の 17 機関をも対象とした標本調査を行った.

結 果

 2000 年 3 月までに回答が得られたのは,297 の研究施設のうちの 250 施設(84%),48 誌のうちの 47 誌,17 連邦機関のうちの 16 機関であった.これらの 250 の研究施設については,そのうちの 15 施設(6%)-大学医学部の 5 施設とその他の研究所の 10 施設-が,利害の対立に関する方針を設定していないと回答した.方針が設定されていた施設において,利害の対立の定義と管理には著しい相違が認められた.これらの施設の 91%では,連邦規則の開示の下限に従った方針が設定されており(その関連企業のからの年収または資産の持ち分が 10,000 ドル,またはその企業の所有株式が 5%),残りの 9%の施設では,連邦ガイドラインより厳しい方針が設定されていた.これらの方針で,研究費を提供している機関への開示が求められていた施設は 8%にすぎず,雑誌についてのこのような方針が設定されていた施設は 7%にすぎなかった.さらに,その治験審査委員会(IRB)や研究被験者への情報の開示を要求した方針が設定されていた施設はわずかに 1%であった.雑誌については,20 誌(43%)が,利害の対立の開示を要求した方針を設定していると回答した.連邦機関については,4 機関で,外部施設で実施される研究における利害の対立を明確に処理する方針が設定されていただけで,1 機関を除いたすべての機関では,主に,それぞれの研究施設の裁量に任せていた.

結 論

 大学医学部とその他の研究所の利害の対立に関する方針は,大きく異なっている.このような方針のばらつきは,多くの科学雑誌と研究費を提供している機関において,利害の対立の開示が求められていないということを考え合わせると,現在の標準的な規定は,科学の潔白性を高水準に保つには十分でないかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1621 - 6. )