The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 6, 2000 Vol. 343 No. 1

ブラジルの地方病性落葉状天疱瘡におけるデスモグレイン 1 に対する抗体の保有率
The Prevalence of Antibodies against Desmoglein 1 in Endemic Pemphigus Foliaceus in Brazil

S.J.P. WARREN AND OTHERS

背景

 落葉状天疱瘡は,デスモグレイン 1 に対する自己抗体が介在している自己免疫皮膚疾患の一つである.この地方病的流行を示す病型には環境的な原因が存在すると考えられている.ブラジルの Mato Grosso do Sul にある Limao Verde のテレナ保護区は,地域住民集団の有病率が 3.4%であったことから,最近,この疾患の流行地域の一つとして同定された.今回,われわれは,地方病的流行がみられる地域に居住している正常被験者は,デスモグレイン 1 に対する抗体を保有しているという仮説の検証を行った.

方 法

 ブラジルの Limao Verde などの地域に居住していた地方病性落葉状天疱瘡(ブラジル天疱瘡)の患者 60 例,Limao Verde とその周辺地域に居住していた正常被験者(落葉状天疱瘡には罹患していない被験者)372 例,および米国および日本の正常被験者 126 例から血清検体を採取し,酵素免疫測定(ELISA)法を用いて,血清中のデスモグレイン 1 に対する抗体を検出した.

結 果

 デスモグレイン 1 に対する抗体は,ブラジル天疱瘡の 60 例の患者では 59 例(98%)に検出されたのに対して,米国と日本の 126 例の正常被験者では 3 例(2%)に検出されただけであった.また,Limao Verde の 93 例の正常被験者のうち 51 例(55%)と,その周辺地域の 279 例の正常被験者のうちの 54 例(19%)にも抗体が検出された.5 例の患者については,発病の 1 ~ 4 年前に採取された血清検体を入手することができた;この 5 例のすべての患者は,最初に採取された血清検体にも抗体が存在しており,発病は抗体価の著しい上昇と関連していた.

結 論

 デスモグレイン 1 に対する抗体の保有率は,ブラジル天疱瘡の地方病的流行のみられる地域に居住している正常被験者でも高く,この疾患の発病には持続的な抗体反応が先行して出現する.これらの結果は,デスモグレイン 1 に対する抗体の産生はある未知の環境物質への暴露によって開始されるという考えを支持するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 23 - 30. )