The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

August 24, 2000 Vol. 343 No. 8

女性における冠動脈心疾患の発症率の動向と食事および生活様式の変化
Trends in the Incidence Coronary Heart Disease and Changes in Diet and Lifestyle in Women

F.B. HU AND OTHERS

背景

 血圧,血清コレステロール濃度と,冠動脈疾患の発症率,死亡率とが相関して低下するという知見が,先行研究において得られている.しかしながら,冠動脈疾患の動向に対する食事および生活様式の変化の影響についてはほとんどわかっていない.

方 法

 看護婦健康研究(the Nurses' Health Study)において,年齢が 34 ~ 59 歳までの,心血管系疾患あるいは癌の診断を受けたことがない女性 85,941 例の追跡調査を,1980 ~ 94 年にわたって行った.食事と生活様式の変数の評価は,調査開始時に実施し,追跡調査によって更新していった.

結 果

 年齢の影響を補正した冠動脈疾患の発生率は,1980 ~ 82 年の 2 年間から 1992 ~ 94 年の 2 年間までに 31%低下した.生活様式については,1980 年 ~ 92 年のあいだに,喫煙する研究参加者の割合が 41%減少し,ホルモン療法を実施している閉経後の女性の割合が 175%増加し,体格指数(BMI : 体重[ kg ]/身長[ m ]2)を 25 以上と定義した過体重の女性の割合が 38%増加した.食事については,今回の追跡調査期間中に大きく改善されていた.統計学的には,これらの変数の変化を同時に考慮すると冠動脈疾患の発症率の 21%の低下を説明していたが,この 21%の低下は,1980 ~ 82 年の期間から 1992 ~ 94 年の期間までに観察された発症率の低下全体の 68%に相当する.これらの変数を個別にみてみると,喫煙の減少が冠動脈疾患の発症率の 13%の低下を説明し,食事の改善が 16%の低下,そして閉経後のホルモン療法実施の増加が 9%の低下を説明していた.これに対して,体格指数の上昇は,冠動脈疾患の発症率の 8%の上昇を説明していた.

結 論

 喫煙の減少,食事の改善,および閉経後のホルモン療法実施の増加によって,本研究の女性集団における冠動脈疾患の発症率低下の多くを説明できた.しかしながら,肥満者が増加していることによって,冠動脈疾患の発症率の低下が鈍くなっているようである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 530 - 7. )