The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

September 14, 2000 Vol. 343 No. 11

骨髄機能を破壊せずに同種末梢血幹細胞移植した後の転移性腎細胞癌の消退
Regression of Metastatic Renal-Cell Carcinoma after Nonmyeloablative Allogeneic Peripheral-Blood Stem-Cell Transplantation

R. CHILDS AND OTHERS

背景

 血液悪性疾患の患者では,同種幹細胞移植によって移植片対白血病反応を誘導し治癒することがあるので,われわれは転移性腎細胞癌の患者に,骨髄機能を破壊せずに同種末梢血幹細胞移植を行うことによって,移植片対腫瘍効果を誘導させる試みを行った.

方 法

 難治性の転移性腎細胞癌の患者で,適合ドナーがみつかっていた 19 例の連続した患者に,シクロホスファミドとフルダラビン(Fludarabine)の移植前処置レジメンを行ってから,HLA 一致同胞または HLA 抗原の一つが適合していない同胞から採取した末梢血幹細胞の同種移植片を注入した.移植片対宿主病予防のために投与したシクロスポリンは,混合 T 細胞キメラリズムあるいは疾患の進行が認められた患者に対しては,早期に投与を中止した.なんの反応も認められなかった患者に対しては,ドナーから採取したリンパ球を最高で 3 回まで注入した.

結 果

 最後の追跡調査時点において,患者 19 例中 9 例が生存し,その生存期間は移植後 287 ~ 831 日であった(追跡調査期間の中央値,402 日).死亡した症例のうち 2 例は移植に関連した原因によって,残りの 8 例は癌の進行によって死亡した. 10 例(53%)の患者には転移巣の消退が認められた; このうちの 3 例が完全寛解(CR),7 例が部分寛解(PR)であった.完全寛解に達した患者は,移植後 27,25,および 16 ヵ月間にわたって寛解が持続していた.転移巣の消退は遅れて発現し,その発現時期は中央値で移植後 129 日目であった.また,消退が認められると,シクロスポリンの投与は中止されることが多く,完全ドナー T 細胞キメラリズムが成立していた.これらの結果は,移植片対腫瘍効果と一致するものである.

結 論

 骨髄機能を破壊せずに同種幹細胞移植を行うと,一般的に行われている免疫療法に反応しなかった患者において,転移性腎細胞癌を消退させて,その状態を持続させることができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 750 - 8. )