The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 14, 2000 Vol. 343 No. 11

ジドブジンには乳幼児に対する心毒性は認められない
Absence of Cardiac Toxicity of Zidovudine in Infants

S.E. LIPSHULTZ AND OTHERS

背景

 周産期におけるジドブジン曝露は,乳幼児の心臓に異常を生じさせる可能性があるということを示す根拠が得られている.そこでわれわれは,周産期にジドブジンに曝露した後にジドブジンの心毒性の証拠となるような所見が存在するか否かを調べるために,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している母親から産まれた乳幼児を対象に,その左室構造および機能についての前向きの研究を行った.

方 法

 HIV 感染女性から産まれた乳幼児の集団を,その誕生から 5 歳まで追跡調査し,4 ~ 6 ヵ月間隔で心エコー検査を行った. HIV に感染していなかった乳幼児 382 例(このうちの 36 例がジドブジンに曝露していた)と,HIV に感染していた乳幼児 58 例(12 例がジドブジンに曝露)から,経時的に検査された心エコー図を入手することができた.左室の構造および機能に関する四つの項目について生後 14 ヵ月目までに測定された結果を,繰返し測定解析を用いて,ジドブジンへの曝露と関連させて分析した.

結 果

 ジドブジンへの曝露には,非 HIV 感染乳幼児あるいは HIV 感染乳幼児のいずれにおいても,左室の平均駆出短縮や,拡張末期径,収縮性,心筋量の有意な異常との関連は認められなかった. HIV に感染していなかった乳幼児の生後 10 ~ 14 ヵ月の時点における平均駆出短縮は,ジドブジンに曝露していなかった乳幼児では 38.1%,ジドブジンに曝露していた乳幼児では 39.0%であった(平均差,- 0.9%ポイント; 95%信頼区間,- 3.1 ~ 1.3%ポイント; p = 0.43).HIV に感染していた乳幼児では,生後 10 ~ 14 ヵ月の時点における平均駆出短縮は,ジドブジンに曝露していない乳幼児(35.4%)とジドブジンに曝露していた乳幼児(35.3%)で同程度であった(平均差,0.1%ポイント; 95%信頼区間,- 3.7 ~ 3.9%ポイント; p = 0.95).また,ジドブジンへの曝露と,生後 14 ヵ月目までにおける標準以下の駆出短縮(25%以下の短縮)にも有意な関連は認められなかった.さらに,生後 10 ヵ月以上の小児には,標準以下の駆出短縮が認められた小児は 1 例もいなかった.

結 論

 周産期にジドブジンに曝露した乳幼児において,ジドブジンは,左室構造あるいは機能の急性または慢性の異常には関連していなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 759 - 66. )