The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 28, 2000 Vol. 343 No. 13

急性心筋梗塞の患者における多発性の複合型冠動脈プラーク
Multiple Complex Coronary Plaques in Patients with Acute Myocardial Infarction

J.A. GOLDSTEIN AND OTHERS

背景

 急性心筋梗塞は,不安定冠動脈プラークの破裂が原因となって発症すると考えられており,不安定冠動脈プラークは血管造影法で単発病変として認められる.しかし,プラークの不安定性は,冠動脈の血管全体に有害な作用を及ぼし,その結果として最終的には不安定病変を多発させる病態生理学的プロセス,例えば炎症,が原因となって生じるということも考えられる.

方 法

 急性心筋梗塞の患者において,多発性の不安定プラークが存在することの確証を得ることと,そしてそれが転帰におよぼす影響を明らかにするために,253 例の患者で撮影された血管造影図を用いて,血栓,潰瘍化,プラークの不規則性,および血流障害によって特徴づけられる複合型冠動脈プラークの分析を行った.

結 果

 単発性の複合型冠動脈プラークは 153 例の患者(60.5%)において,多発性の複合型プラークは残りの 100 例(39.5%)において確認された.多発性の複合型プラークが存在していた患者は,単発性の複合型プラークが存在していた患者と比較して,初回血管形成術を受ける可能性が低く(86.0% 対 94.8%,p = 0.03),緊急バイパス手術が必要になることが多かった(27.0% 対 5.2%,p ≦ 0.001).心筋梗塞が発症してからの 1 年間においては,多発性の複合型プラークの存在は,急性冠症候群の再発率の上昇(19.0% 対 2.6%,p ≦ 0.001),血管形成術の再施行率の上昇(32.0% 対 12.4%,p ≦ 0.001),とくに梗塞には無関係の病変における血管形成術の再施行率の上昇(17.0% 対 4.6%,p ≦ 0.001),および冠動脈バイパス移植(CABG)術の施行率の上昇(35.0% 対 11.1%,p ≦ 0.001)と関連していた.

結 論

 急性心筋梗塞の患者は,有害な臨床転帰に結びついている多発性の複合型冠動脈プラークを隠しもっている場合がある.そして,プラークの不安定性は,冠動脈全体に広がるプロセスが原因である可能性があるので,急性の虚血性心疾患の管理における意義があるかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 915 - 22. )