The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

September 28, 2000 Vol. 343 No. 13

転移性結腸直腸癌に対するフルオロウラシルとロイコボリン併用療法への イリノテカンの追加
Irinotecan plus Fluorouracil and Leucovorin for Metastatic Colorectal Cancer

L.B. SALTZ AND OTHERS

背景

 フルオロウラシルとロイコボリンの併用療法は,最近になるまで転移性結腸直腸癌の標準的な療法であった.イリノテカンは,フルオロウラシルとロイコボリンによる治療に不応性の結腸直腸癌の患者において,その生存を延長させる.今回,われわれは,多施設共同試験において,転移性結腸直腸癌の第一選択療法として,イリノテカン,フルオロウラシルおよびロイコボリンの併用療法と,フルオロウラシルとロイコボリンのボーラス投与の比較を行った.さらに,第 3 群の患者には,イリノテカンの単剤投与を行った.

方 法

 直腸結腸癌の患者を以下の治療に無作為に割り付けた; イリノテカン(体表面積1 m2 当り 125 mg を静脈内投与),フルオロウラシル(体表面積 1 m2 当り 500 mg を静脈内ボーラス投与),およびロイコボリン(体表面積 1 m2 当り 20 mg を静脈内ボーラス投与)を,1 週間に 1 回,4 週間投与し,これを 6 週間間隔で繰り返す; フルオロウラシル(体表面積 1 m2 当り 425 mg を静脈内ボーラス投与)およびロイコボリン(体表面積 1 m2 当り 20 mg を静脈内ボーラス投与)を 4 週間間隔で 5 日間連日投与 ;イリノテカン(体表面積 1 m2 当り 125 mg を静脈内投与)を単剤で 1 週間に 1 回,4 週間投与し,これを 6 週間間隔で繰り返す.エンドポイントには無進行生存と全生存を含めた.

結 果

 683 例の患者のうち,231 例がイリノテカン + フルオロウラシル + ロイコボリンの治療に割り付けられ,226 例がフルオロウラシル + ロイコボリンの治療,残りの 226 例がイリノテカンの単剤治療に割り付けられた.Intention-to-treat 解析では,イリノテカン + フルオロウラシル + ロイコボリンの治療は,フルオロウラシル + ロイコボリンの治療に比べて,無進行生存期間を有意に延長させる(中央値,7.0 ヵ月間 対 4.3 ヵ月間; p = 0.004)とともに,寛解率を上昇させ(39% 対 21%,p < 0.001),全生存期間も延長させた(中央値,14.8 ヵ月間 対 12.6 ヵ月間; p = 0.04).イリノテカン単剤の治療結果は,フルオロウラシル + ロイコボリンの治療結果と同等であった.Grade 3(重度)の下痢は,フルオロウラシル + ロイコボリンの治療中よりも,イリノテカン + フルオロウラシル + ロイコボリンの治療中で多く発現したが,Grade 4(生命を脅かす)の下痢の発現頻度は,この 2 群で同程度であった(< 8%).Grade 3 または Grade 4 の粘膜炎,Grade 4 の好中球減少症,および好中球減少症を伴った発熱の発現頻度は,イリノテカン + フルオロウラシル + ロイコボリンの治療中のほうが低かった.また,フルオロウラシル + ロイコボリンの治療レジメンにイリノテカンを追加しても,QOL が損なわれることはなかった.

結 論

 フルオロウラシルとロイコボリンにイリノテカンの併用を毎週行う治療は,転移性結腸直腸癌で広く使用されているフルオロウラシル + ロイコボリンの治療レジメンよりも,無進行生存および全生存という点において優れている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 905 - 14. )