October 5, 2000 Vol. 343 No. 14
性的に活発な若年女性における無症候性細菌尿症の前向き研究
A Prospective Study of Asymptomatic Bacteriuria in Sexually Active Young Women
T.M. HOOTON AND OTHERS
無症候性細菌尿症は,若年層の女性にはよくみられるが,その病因,自然経過,危険因子,および有症状の尿路感染症との時間的な関連についてはほとんどわかっていない.
無症候性細菌尿症の発症(泌尿器感染症の起炎菌となる病原体のコロニー形成単位(CFU)/mL が 105 個以上と定義した)について,18~40 歳の性的に活発な妊娠していない女性 796 例を,6 ヵ月間にわたって前向きに評価した.これらの女性は,大学の学生保健センターまたは健康維持機構(HMO)の患者であった.尿培養は定期的に行い,患者日誌を毎日つけさせるとともに,定期的に面接を実施した.分離された Escherichia coli(大腸菌)株については,溶血毒,papG の遺伝子型,およびリボソーム RNA(rRNA)の多形性の検査を行った.
無症候性細菌尿症の有病率(無症状の女性の尿培養において細菌尿が確認された割合)は,大学群の女性では 5%(95%信頼区間,4~6%),HMO 群の女性では 6%(95%信頼区間,5~8%)であった.同一の E. coli 株による持続性の無症候性細菌尿症はまれであった.尿培養で無症候性細菌尿が示された場合には,その 8%で 1 週間後までに症候性尿路感染症が発症したのに対し,無症候性細菌尿が確認されなかった場合は 1%であった(p<0.001).無症候性細菌尿症は,症候性尿路感染症と同じ危険因子と関連があり,とくにスペルミシドが塗布されたペッサリーの使用と性交との関連が強かった.
若年女性における無症候性細菌尿症は,よくみられる疾患であるが,持続するというようなことはめったにない.そして,この無症候性細菌尿症は,続発する症候性尿路感染症の強力な予測因子の一つである.