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January 18, 2001 Vol. 344 No. 3

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HIV 感染症の患者における高活性抗レトロウイルス療法後の Pneumocystis carinii 肺炎に対する一次および二次予防の中止に関する無作為試験
Discontinuation of Primary/Secondary Prophylaxis Against Pneumocystis carinii Pneumonia After Antiretrovial Therapy in HIV

J.C. LOPEZ BERNALDO DE QUIROS AND OTHERS

背景

CD4 細胞数が 200/mm3 未満のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者と,Pneumocystis carinii 肺炎(カリニ肺炎)の既往歴を有する HIV 感染患者には,P. carinii 肺炎に対する予防療法が必要である.しかしながら,高活性抗レトロウイルス療法(HAART)が奏効して CD4 細胞数が増加すれば,この予防療法を中止しても安全か否かということは明確になっていない.

方 法

P. carinii 肺炎に対する一次予防と二次予防の中止に関する無作為試験を,抗レトロウイルス療法の効果が持続していた HIV 感染患者を対象として実施した.なお,抗レトロウイルス療法の効果の持続は,最低 3 ヵ月間にわたって CD4 細胞数が 200/mm3 以上かつ血漿中の HIV 1 型(HIV-1)の RNA 量が 5,000 コピー/mm3 未満に維持されていることと定義した.また,これらの予防療法は,CD4 細胞数が 200/mm3 未満にまで減少した場合に再開した.

結 果

一次予防療法を受けていた 474 例の患者については,試験組入れ時の CD4 細胞数の中央値が 342/mm3 で,HIV-1 の RNA 量が検出限界以上であった患者は 38%であった.これらの患者の追跡調査期間の中央値は 20 ヵ月間(388 人年)であったが,一次予防療法を中止した 240 例の患者には,これ以降に P. carinii 肺炎のエピソードは 1 件も発現しなかった(95%信頼区間,100 人年当り 0~0.85 エピソード).二次予防療法を受けていた 113 例の患者については,試験組入れ時の CD4 細胞数の中央値が 355/mm3 で,HIV-1 の RNA 量が検出限界以上であった患者は 24%であった.これらの患者の追跡調査期間の中央値は 12 ヵ月間(65 人年)であったが,二次予防療法を中止した 60 例の患者にも,これ以降に P. carinii 肺炎のエピソードはまったく発現しなかった(95%信頼区間,100 人年当り 0~4.57 エピソード).

結 論

高活性抗レトロウイルス療法を受けている HIV 感染患者においては,CD4 細胞数が 3 ヵ月以上にわたって 200/mm3 以上に増加すれば,P. carinii 肺炎に対する一次予防と二次予防を安全に中止することができる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 159 - 67. )