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January 4, 2001 Vol. 344 No. 1

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高血圧症に関連した急性肺水腫の病因
The Pathogenesis of Acute Pulmonary Edema Associated with Hypertension

S.K. GANDHI AND OTHERS

背景

急性肺水腫の患者は,顕著な高血圧症を示すことが多いが,血圧が低下すると,左室駆出率は正常化する(≧0.50).しかしながら,このような肺水腫は,単独に発現する拡張機能障害だけによって生じるものではなく,むしろ,一過性の収縮機能障害,急性の僧帽弁逆流,あるいはこの両者が原因になっているのかもしれない.

方 法

急性肺水腫で収縮期血圧が 160 mmHg を超えていた患者 38 例(男性 14 例,女性 24 例;平均 [±SD] 年齢,67±13 歳)を対象として検討した.駆出率および局所機能を,2 次元のドップラー心エコー法によって,急性エピソードの発現中および治療後 1~3 日目の時点に評価した.

結 果

平均収縮期血圧は,初回の心エコー検査時には 200±26 mmHg であったのが,追跡検査時には 139±17 mmHg に下降した.このような血圧の著しい変化にもかかわらず,駆出率は,急性エピソード発現中(0.50±0.15)と治療後(0.50±0.13)で同程度であった.左室の局所の壁運動指数(16 区画の平均値)も,急性エピソード発現中(1.6±0.6)と治療後(1.6±0.6)で同じであった.急性エピソード発現中に重症の僧帽弁逆流が認められた患者はいなかった.治療後の駆出率は 18 例で正常(0.50 以上)であった.これらの 18 例のうちの 16 例は,急性エピソード発現中の駆出率も 0.50 以上であった.

結 論

高血圧性肺水腫の患者では,治療後に駆出率が正常化した場合,その肺水腫は,高血圧により拡張機能障害の悪化が原因であり,一過性の収縮機能障害や,僧帽弁逆流が原因ではないことが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 17 - 22. )