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June 21, 2001 Vol. 344 No. 25

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急性心筋梗塞に対する冠動脈ステント挿入に併用する血小板糖蛋白 IIb/IIIa の阻害
Platelet Glycoprotein IIb/IIIa Inhibition with Coronary Stenting for Acute Myocardial Infarction

G. MONTALESCOT AND OTHERS

背景

血小板糖蛋白 IIb/IIIa(GP IIb/IIIa)阻害薬は,急性心筋梗塞の治療において初回冠動脈ステント挿入と併用して投与すると,付加的な臨床有益性をもたらす可能性があるが,この併用に関するデータは限られたものである.

方 法

急性心筋梗塞の患者 300 例を,二重盲検法にて,冠動脈造影法を実施する前に,アブシキシマブ(abciximab)とステント挿入の併用(149 例),またはプラセボとステント挿入の併用(151 例)のいずれかに無作為に割り付けた.そして,その臨床転帰を,試験手技の実施後 30 日目および 6 ヵ月目に評価した.血管造影法による梗塞の責任血管の開通性および左室駆出率の評価は,手技後 24 時間目および 6 ヵ月目に行った.

結 果

主要エンドポイント - 死亡,再梗塞,または標的血管の緊急血行再建の複合 - の発生率は,試験手技後 30 日では,アブシキシマブ群の患者で 6.0%であったのに対して,プラセボ群の患者では 14.6%であった(p = 0.01);試験手技後 6 ヵ月の各群の発生率は,それぞれ 7.4%および 15.9%であった(p = 0.02).このアブシキシマブ群に認められた優れた臨床転帰は,冠動脈の血流がグレード 3(心筋梗塞に対する血栓溶解試験 [Thrombolysis in Myocardial Infarction trial] の分類,すなわち TIMI 分類)である頻度が,アブシキシマブ群のほうがプラセボ群よりも大きかったことに関連したものであった;手技前(16.8% 対 5.4%,p = 0.01),手技直後(95.1% 対 86.7%,p = 0.04),手技後 6 ヵ月目(94.3% 対 82.8%,p = 0.04).アブシキシマブ群では,大出血のイベントが 1 件(0.7%)発現したが,プラセボ群にはまったく認められなかった.

結 論

急性心筋梗塞の患者に対するアブシキシマブの早期投与は,プラセボと比較して,ステント挿入前における冠動脈の開通性,ステント挿入手技の成功率,ステント挿入手技後 6 ヵ月目における冠動脈の開通率,左室機能,および臨床転帰を改善させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1895 - 903. )