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February 8, 2001 Vol. 344 No. 6

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冠動脈バイパス術後の神経認知機能の経時的評価
Longitudinal Assessment of Neurocognitive Function after Coronary-Artery Bypass Surgery

M.F. NEWMAN AND OTHERS

背景

認知力の衰えは冠動脈バイパス移植(CABG)後の早期回復を遅らせ,退院時には患者の 3/4,6 ヵ月後にも 1/3 という多くの患者において認知機能の低下が認められる.われわれは,CABG 後 5 年間にわたって認知力の変化の経過を調べ,周術期における認知機能の低下が長期の認知機能に及ぼす影響を明らかにしようとした.

方 法

CABG を受けた 261 例の患者に対して,神経認知検査を,手術前(試験開始時),退院前,および CABG 術後 6 週目,6 ヵ月目,5 年目に実施した.術後の神経認知機能の低下は,認知機能の四つの領域のうちのいずれか一つの領域の検査において,そのスコアが 1 SD 以上低下した場合と定義した(1 SD の減少は機能の約 20%の低下に相当する).全般的な神経認知状態は,これらの個々の領域のスコアの合計で表した複合認知指数のスコアによって評価した.さらに,認知機能の長期低下を予測する因子を,多変量ロジスティック回帰および線形回帰を用いて分析した.

結 果

検討した患者では,認知機能低下の発現率は,退院時には 53%,術後 6 週間目には 36%,6 ヵ月目には 24%,5 年目には 42%であった.術後 5 年目における認知機能低下の予測因子を検討した結果,退院時の認知機能がその長期の機能の有意な予測因子になっていた(p<0.001).

結 論

これらの結果は,CABG 後に認知機能の低下が比較的高率に発現し,持続することを確認した.さらに,これらの結果は,認知機能の変化パターンには術後早期に改善したあとに再び遅れて低下するパターンがあり,このパターンは術後早期の認知機能の低下によって予測されることを示唆している.したがって,心臓手術後に現れる認知機能の短期および長期の低下を予防あるいは減少させるために,何らかの介入が必要であることを示している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 395 - 402. )