February 15, 2001 Vol. 344 No. 7
肺浸潤,発熱,および急性呼吸不全が出現した免疫抑制患者における非侵襲的な換気法
Noninvasive Ventilation in Immunosuppressed Patients with Pulmonary Infiltrates, Fever, and Acute Respiratory Failure
G. HILBERT AND OTHERS
呼吸不全の管理,とくに免疫抑制患者の呼吸不全の管理では,挿管を回避することが一つの大きな目標である.それにもかかわらず,このような高リスク患者における非侵襲的な換気法の有効性に関するデータはわずかしか得られていない.
肺浸潤と発熱が認められ,初期の低酸素性急性呼吸不全に陥った 52 例の免疫抑制患者を対象として,間欠的な非侵襲的換気法を,人工呼吸器による支持を行わない酸素補充のみの標準治療と比較するプロスペクティブ無作為試験を実施した.呼吸マスクによる非侵襲的換気法の期間は,3 時間ごとに,酸素補充の下で自発呼吸を行う期間と,交互にした.また,非侵襲的換気法の各治療期間は,最低 45 分間連続して実施することとした.挿管の決定は,あらかじめ決められていた標準的な基準にしたがって行った.
2 群の試験開始時の患者特性は類似していた;26 例の患者から成る各群には,血液悪性疾患で好中球減少症の患者が 15 例ずつ含まれていた.非侵襲的換気法群では,標準治療群よりも,気管内挿管が必要となった患者(12 例 対 20 例,p = 0.03)と,重篤な合併症が発現した患者が(13 例 対 21 例,p = 0.02)少なかっただけでなく,集中治療室(10 例 対 18 例,p = 0.03)および院内(13 例 対 21 例,p = 0.02)で死亡した患者も少なかった.
肺炎や急性呼吸不全などを発症した特定の免疫抑制患者では,非侵襲的換気法を早期に開始することによって,気管内挿管の実施率と重篤な合併症の発症率を有意に低下させ,回復して退院できる可能性を向上させる.