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January 11, 2001 Vol. 344 No. 2

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携帯電話の使用と脳腫瘍
Cellular-Telephone Use and Brain Tumors

P.D. INSKIP AND OTHERS

背景

手にもてる大きさの小型携帯電話の使用によって,脳腫瘍が発生するのではないかという懸念が湧いている.もしこのようなリスクが存在するならば,これらの機器の使用が世界規模で急速に増加していることを考えると,これは無視できない公衆衛生上の重大な問題であろう.

方 法

神経系の頭蓋内腫瘍に関する症例対照研究を 1994~98 年に実施し,携帯電話の使用との関係について検討した.本研究には,アリゾナ州のフェニックスと,ボストンおよびピッツバーグの病院から 782 例の患者が組み入れられた;患者の内訳は,489 例が組織学的に確認された神経膠腫,197 例が髄膜腫,96 例が聴神経腫であった.799 例の対照患者は,これらの脳腫瘍患者と同じ病院に入院していた各種の非悪性疾患の患者であった.

結 果

携帯電話の累積使用時間が 100 時間を超える場合の相対危険度は,携帯電話を使用したことがない,あるいはごくまれにしか使用したことがない場合と比較して,神経膠腫の発生が 0.9(95%信頼区間,0.5~1.6),髄膜腫が 0.7(95%信頼区間,0.3~1.7),聴神経腫が 1.4(95%信頼区間,0.6~3.5)で,各種の腫瘍をすべて合わせた場合が 1.0(95%信頼区間,0.6~1.5)であった.携帯電話を 1 日当り 60 分以上あるいは 5 年以上日常的に使用していた人々において,頭蓋内腫瘍のリスクが高いことを示す証拠は得られなかった.また,腫瘍の発生部位についても,携帯電話を常に使用している側に不均衡に多く発生するというような結果もなかった.

結 論

これらのデータは,小型携帯電話の最近の使用が脳腫瘍の発生原因になっているという仮説を支持するものではないが,長期間にわたって長時間使用している利用者および長期の誘発期間によるリスクの可能性を評価するには十分なデータではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 79 - 86. )