January 11, 2001 Vol. 344 No. 2
超低出生体重児における早期デキサメタゾン治療の有害作用
Adverse Effects of Early Dexamethasone Treatment in Extremely-Low-Birth-Weight Infants
A.R. STARK AND OTHERS
未熟児における慢性肺疾患のリスクは,高用量のデキサメタゾンの早期投与によって低下する可能性があるが,合併症を引き起すこともある.デキサメタゾンを中用量にした場合に同程度の有効性が保持され,安全性の向上を図れるか否かはわかっていない.
出生体重が 501~1,000 g で,出生後 12 時間以内に機械的人工呼吸の治療を受けた 220 例の新生児を無作為に割り付け,デキサメタゾンまたはプラセボを投与するとともに,通常の換気支持療法または軽度の高炭酸ガス症を許した最低限の換気支持療法のいずれかを行った.デキサメタゾンの投与は生後 24 時間以内に開始し,投与量は最初の 3 日間は体重当り 1 日 0.15 mg/kg とし,その後 7 日間かけて漸減していった.主要転帰は,最終月経から 36 週目の時点までの死亡または慢性肺疾患の発症とした.
デキサメタゾンの治療を受けた新生児の死亡または慢性肺疾患の相対危険度は,プラセボの投与を受けた新生児と比較して 0.9(95%信頼区間,0.8~1.1)であった.デキサメタゾンの治療の効果には換気療法の違いによる影響がみられなかったので,デキサメタゾンの 2 群とプラセボの 2 群をそれぞれ併合した.デキサメタゾン群の新生児は,プラセボ群の新生児と比較して,出生後 28 日目までに酸素投与(p = 0.004)を受ける傾向や非盲検でのデキサメタゾン投与(p = 0.01)を受ける傾向は低かったものの,高血圧症になる可能性が高く(p<0.001),高血糖症のためにインスリン治療を受ける傾向も高かった(p = 0.02).また,デキサメタゾン群では,デキサメタゾンの投与開始後 14 日目までに特発性の胃腸管穿孔が認められた新生児の割合も多かった(13%,これに対してプラセボ群では 4%;p = 0.02).さらに,デキサメタゾンの治療を受けた新生児は,最終月経から 36 週目の時点において,体重が軽く(p = 0.02),頭囲が小さかった(p = 0.04).
未熟児に対する中用量のデキサメタゾンの早期投与は,死亡あるいは慢性肺疾患に対して何の効果も得られないばかりか,胃腸管の穿孔および発育遅延との関連が認められる.