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October 25, 2001 Vol. 345 No. 17

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急性心筋梗塞の高齢患者における輸血
Blood Transfusion in Elderly Patients with Acute Myocardial Infarction

W.-C. WU, S.S. RATHORE, Y. WANG, M.J. RADFORD, AND H.M. KRUMHOLZ

背景

貧血は,冠動脈疾患の患者において有害作用を及ぼすことがある.しかしながら,急性心筋梗塞にさまざまな程度の貧血を伴った高齢患者において,輸血の有益性は確かめられていない.

方 法

急性心筋梗塞で入院していた 65 歳以上のメディケア(老齢者医療保障制度)受益者,78,974 例のデータを用いて後ろ向き研究を実施した.入院時のヘマトクリット値によって患者を分類し(5.0~24.0%,24.1~27.0%,27.1~30.0%,30.1~33.0%,33.1~36.0%,36.1~39.0%,または 39.1~48.0%),輸血の実施と 30 日死亡率とのあいだに関連があるかどうかを調べるために,データの評価を行った.

結 果

入院時のヘマトクリットが低値であった患者は,30 日死亡率が高かった.輸血は,入院時のへマットクリット値が 5.0~24.0%(補正オッズ比,0.22;95%信頼区間,0.11~0.45)から 30.1~33.0%(補正オッズ比,0.69:95%信頼区間,0.53~0.89)の範囲に分類された患者において,30 日死亡率の低下と関連していた.ヘマトクリットがこれよりも高値の範囲に分類された患者では,輸血は,30 日死亡率の低下には結び付いていなかった.7 つの部分集団を対象とした解析の 1 つにおいて(少なくとも 2 日間生存していた患者を対象),ヘマトクリット値が 30.1%以上の患者では,輸血は死亡率の低下に結び付いていなかった.

結 論

急性心筋梗塞の高齢者において,輸血は,入院時のヘマトクリット値が 30.0%以下の場合に短期死亡率の低下に結び付いており,入院時のヘマトクリット値が 33.0%程度までの患者に有効なのかもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1230 - 6. )