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November 8, 2001 Vol. 345 No. 19

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妊孕能のある男性と妊孕能のない男性における精子の形態,運動性,および濃度
Sperm Morphology, Motility, and Concentration in Fertile and Infertile Men

D.S. GUZICK AND OTHERS

背景

精液分析法は,不妊カップルの男性パートナーの評価に一般的に使用されているが,妊孕能のある男性と妊孕能のない男性を識別する精子の評価法は,完全には定義されていない.

方 法

9 つの医療施設において,765 組の不妊カップルと 696 組の妊娠カップルの各男性パートナーから採取した精液の 2 つの検体について評価した.不妊カップルの女性パートナーは,妊孕能評価で正常な結果が得られていた.精子濃度と精子運動性については各施設で測定した;精子の形態学的特徴を厳密な基準を用いて評価するために,精液の塗抹標本を各施設で染色して,集中検査室に送付した.精子濃度,精子運動性,および形態について,低妊孕性および妊孕性の閾値を推定するために,決定樹分析を利用した.また妊孕能のある男性と妊孕能のない男性の識別において,これらの精子評価法の相対価値の評価には,ROC 曲線解析を用いた.

結 果

妊孕能が低下している範囲は,精子濃度が 13.5×106 個/mL 未満,運動能のある精子が 32%未満,形態学的特徴が正常な精子が 9%未満であった.妊孕能のある範囲は,精子濃度が 48.0×106 個/mL 以上,運動性が 63%以上,形態学的特徴が正常な精子が 12%以上であった.これらの範囲と範囲のあいだの値は,どちらともいえない妊孕性を示していた.この 3 つのすべての評価法に関して,妊孕能が低下している範囲と妊孕能のある範囲のどちらにおいても,妊孕能のある男性と妊孕能のない男性が広範囲に重なっているのが認められた.これらの精子評価法のそれぞれが,妊孕能のある男性と妊孕能のない男性を見分けるのには役立つものではあったが,そのどれもが強力な識別因子ではなかった.正常な形態学的特徴をもった精子の割合に,もっとも大きな識別力があった.

結 論

精子濃度,精子運動性,および形態の閾値は,妊孕能の低下した男性,どちらともいえない妊孕能の男性,あるいは妊孕能のある男性に分類するのに用いることができる.しかしながら,どの測定法も不妊症の診断にはならない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 1388 - 93. )