November 15, 2001 Vol. 345 No. 20
再発性脳虚血性発作の予防におけるワルファリンとアスピリンとの比較
A Comparison of Warfarin and Aspirin for the Prevention of Recurrent Ischemic Stroke
J.P. MOHR AND OTHERS
脳虚血性発作の病歴を有する患者では,抗血小板薬,通常はアスピリンの使用にもかかわらず,再発率が依然として高い.そこで,心原性塞栓症の予防において有効かつアスピリンよりも優れているワルファリンが,非心塞栓性の脳虚血性発作の既往を有する患者における再発性脳虚血性発作の予防にも,優れているかどうかについて検討した.
多施設共同二重盲検無作為試験において,ワルファリン(国際標準化率:INR が 1.4~2.8 になるように調整した用量)とアスピリン(325 mg/日)の,2 年以内の再発性脳虚血性発作または全死因死亡の複合主要エンドポイントに対する効果を比較した.
試験開始時の危険因子に関して,無作為化した 2 つの試験群は同程度であった.Intention-to-treat 解析において,評価した転帰のいずれにおいても,治療群間に有意な差は認められなかった.死亡または再発性脳虚血性発作の主要エンドポイントは,ワルファリンに割付けられた 1,103 例の患者のうちの 196 例(17.8%)と,アスピリンに割付けられた 1,103 例の患者の 176 例(16.0%)に発生した(p=0.25;アスピリンに対するワルファリンのハザード比,1.13;95%信頼区間,0.92~1.38).大出血の発生率は低かった(ワルファリン群では 100 患者-年当り 2.22,アスピリン群では 100 患者-年当り 1.49).さらに,最初の発作の原因別による主要エンドポイントあるいは大出血の発生頻度や発生までの時間には,治療に関連した有意な差は認められなかった.
2 年間にわたって,再発性脳虚血性発作または死亡の予防や大出血の発生率には,アスピリンとワルファリンのあいだに有意な差は認められなかった.この結果から,ワルファリンとアスピリンは,どちらも適切な治療選択肢として考えられる.