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September 20, 2001 Vol. 345 No. 12

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巨大クモ膜下嚢胞が特徴の神経嚢虫症に対する薬物治療
Medical Treatment for Neurocysticercosis Characterized by Giant Subarachnoid Cysts

J.V. PROANO AND OTHERS

背景

ブタの条虫である Taenia solium(有鉤条虫)の幼虫に感染すると,脳内に嚢胞が発生することがある.嚢胞の外科的除去は,頭蓋内圧亢進症のある巨大嚢胞が特徴の神経嚢虫症に対して,一般的に認められた治療法である.

方 法

悪性型の神経嚢虫症に対して,内科的に治療した 33 例の患者について報告する.すべての患者に,頭蓋内圧亢進症と,直径が最低 50 mm のクモ膜下嚢胞の根拠となる所見が認められた.全例が,アルベンダゾール 15 mg/kg/日の投与を 4 週間受けた.10 例は,プラジカンテルの 100 mg/kg/日の投与も 4 週間受けた.17 例はアルベンダゾールの 2 コース目の投与を受け,3 例が 3 コース目の投与,1 例が 4 コース目の投与を受けた.治療の初回サイクル時には,全例がデキサメタゾンの投与も受けた.5 例は,巨大嚢胞に対して神経外科学的治療をすでに受けていた.

結 果

中央値 59 ヵ月(範囲,7~102 ヵ月間)の追跡調査期間のあと,33 例のすべての患者の病状が改善し,嚢胞は消失あるいは石灰化してきた.痙攣の病歴を有していた 22 例のうち,11 例で抗痙攣薬の投与が継続されただけであった.Karnofsky の尺度による QOL スコアの中央値は,40 から 100 に改善した.15 例が,水頭症のために脳室腹腔シャントの形成術を受けた.4 例には,嚢胞の後遺症(両眼の部分萎縮,発作,あるいは複視)が持続した.

結 論

巨大嚢胞が特徴の神経嚢虫症の患者には,集中的な薬物治療が有効な可能性がある.神経外科学的治療は,死亡の危急リスクがある場合にのみ必要かもしれない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 879 - 85. )