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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 8, 2001
Vol. 344 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 重症敗血症に対する遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C
    Recombinant Human Activated Protein C for Severe Sepsis

    重症敗血症に対する遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C

    重症敗血症では,全身的な炎症反応と,凝固系の活性化が,疾病プロセスに関与すると考えられている.活性化プロテイン C には,抗炎症および抗凝固作用があり,敗血症では濃度が低下する.この大規模臨床試験では,遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C の静注投与と,プラセボの投与を比較した.この治療によって,死亡率は 30.8%から 24.7%に低下し,相対危険度では 19.4%低下するという結果であった.
    抗菌剤治療と集中的な医療にもかかわらず,重症敗血症症候群の死亡率は,依然として高い.遺伝子組換え活性化プロテイン C の利用は,新しいアプローチである.死亡率の低下は大きなものではなかったが,この深刻な問題の治療に対する,重要な進歩を表している.

  • 重症パーキンソン病に対する胎児ドパミン作動性ニューロンの移植
    Transplantation of Embryonic Dopamine Neurons for Severe Parkinso's Disease

    重症パーキンソン病に対する胎児ドパミン作動性ニューロンの移植

    ヒト胎児ドパミン作動性ニューロンの被殻への移植は,パーキンソン病患者に対して有益な可能性がある.この研究では,患者 40 例を無作為に割付けて,移植術か偽手術を行い,二重盲検のプロトコールに従って 1 年間追跡した.1 年後の時点における,主要転帰のスコア得点――症状の改善や悪化に関する全体的な評点――は,2 群全体では同程度であった.しかし 60 歳以下の患者では,移植によってスコアが改善した.ジスキネジアは,最終的に移植を受けた患者 33 例中の 5 例で生じた.
    若年患者では,移植術によって改善する症状も確かにあったが,ジスキネジアの発生は憂慮すべきである.今回の結果からは,この研究で実施したような形でのこの手技の利用は支持されない.

  • 女性と男性における初期の血漿 HIV-1 RNA 量
    Initial Plasma HIV-1 RNA Levels in Women and Men

    ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の血漿レベルが,男女で異なるか否かという問題について,これまでのデータは一致しない.HIV-1 に感染した薬物注射の常用者である男性 156 例と女性 46 例を対象とした前向き研究では,セロコンバージョン後初期の HIV-1 RNA 量は,男性が女性より 3 倍高かった.しかし,初期の CD4+リンパ球数の中央値と AIDS への進行率には差はなかった.
    HIV-1 RNA の初期値は,女性が男性より低かった.ウイルス量が 20,000 コピー/mL より高値の場合に抗ウイルス療法を開始する現行の勧告では,セロコンバージョンの時点で,こうした治療の適格例となる女性の数が,男性よりも相当少なくなることを意味する.

  • 長期透析がその後の移植腎の生着に及ぼす影響
    Effect of Long-Term Dialysis on the Subsequent Survival of Renal Allografts

    事前の長期透析導入を伴わない生体腎移植が,移植腎の長期生着に影響するか否かはわかっていない.この研究では,事前の透析を伴わない移植(「先制」移植)によって,平均 406 日の追跡期間における,急性拒絶率(5.5%,これに対して透析後の移植では 14.6%)と移植腎の生着不全率(3.8%に対して 5.8%)が,顕著に減少した.
    事前の透析導入を伴わない生体腎移植は,急性拒絶の発生率を下げ,移植腎の長期生着率を上昇させると思われる.しかし,事前透析なしに移植を行ったグループの結果がまさっていたのは,このグループがより健康で,コンプライアンスも優れていたせいかも知れない.生体ドナーが存在する末期腎疾患の患者に対しては,できるだけ速やかに腎移植を実施すべきことを今回の結果は示唆している.

  • 硬化性膵炎患者における血清 IgG4 濃度の上昇
    High Serum IgG4 Concentrations in Patients with Sclerosing Pancreatitis

    硬化性膵炎患者における血清 IgG4 濃度の上昇

    硬化性膵炎(自己免疫性膵炎)は,主膵管の不整狭細化,高ガンマグロブリン血症,グルココルチコイド治療に対する良好な反応が特徴である.この研究では,IgG4 および総 IgG の血清濃度と,IgG4 のサブクラスを含む免疫複合体の血清濃度は,硬化性膵炎患者のほうがさまざまな対照患者よりも高かった.グルココルチコイド治療によって,臨床的改善が生じ,IgG4 と免疫複合体の血清濃度が低下した.
    硬化性膵炎は,特徴的な臨床,病理,免疫学的所見を伴う,独自の疾患単位であることをこの研究の結果は示している.この疾患は,膵管における免疫複合体の蓄積によって生じるのかも知れない.さらに,血清 IgG4 の測定は,本疾患と,本疾患と紛らわしいことのある膵臓癌との鑑別に役立つであろう.

REVIEW ARTICLE

  • 医学の進歩:介入的呼吸器学
    Medical Progress: Interventional Pulmonology

    医学の進歩:介入的呼吸器学

    介入的呼吸器病学とは,さまざまな肺および胸膜疾患の治療に対する,気管支鏡や胸腔鏡の新しい手技の活用のことをいう.こうした介入的手技の例として,気管や気管支の狭窄に対する,ステント設置を伴う(または伴わない)バルーン拡張術,気管支内レーザー療法,電気焼灼,気管支内近接照射療法,悪性疾患の緩和療法としての光力学的治療がある.