The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 22, 2001
Vol. 344 No. 12

  • 子癇前症の素因としての父親および母親由来の要素
    Paternal and Maternal Components of the Predisposition to Preeclampsia

    ユタ州の多世代にわたるデータベースを用いて,父親か母親が子癇前症を合併した妊娠で産まれていた場合に,その子孫の妊娠中に子癇前症が生ずる確率が高くなるか否かを評価した.子癇前症を合併した妊娠で産まれた男性 298 例では,正常な妊娠で産まれた男性 596 例と比べて,子供が妊娠中に子癇前症を合併する確率が 2 倍高かった.同様に,子癇前症を合併した妊娠で産まれた女性 237 例では,正常な妊娠で産まれた女性 474 例と比べて,子供が妊娠中に子癇前症を合併する確率が 3 倍高かった.
    ユタ州には,他のいかなる地域にもほとんど存在しない,完全な出生関連の記録が存在する.子癇前症の発症には父母双方に由来する要因が関与するという今回の知見は,おそらく妥当なものであり,この疾患の発生に対する男性要因の関与を明らかにする,さらなる研究を導くであろう.

    • 心不全患者に対する両室ペーシング
      Biventricular Pacing in Patients with Heart Failure

      心不全患者に対する両室ペーシング

      慢性心不全患者の約 1 / 3 には,心室内伝導遅延がみられる.この伝導遅延によって,心収縮の同期障害が生じ,心室機能が低下する.この研究では,多部位刺激両室ペーシングを用いて心収縮の同期性を回復することにより,慢性心不全患者の運動耐性,酸素摂取量,QOL が改善するという結果だった.
      慢性心不全は,衰弱性の病態で,治療が困難である.心室内伝導遅延を合併する患者に対して,心室収縮の同期性を改善する両室ペーシングは,有望な新規のアプローチである.しかし,両室ペーシングには,技術的な困難という限界がある.より長期間の追跡調査が必須である.

      • 慢性肉芽腫症に対する骨髄機能非破壊前処置での幹細胞移植
        La Crosse Encephalitis in Children

        慢性肉芽腫症は,食細胞の酸化酵素を障害する遺伝的変異が原因であり,感染に対する感受性が増大する.この疾患の患者 10 例に対して,レシピエントの骨髄機能を破壊しない免疫抑制療法で前処置を行ったあとで,HLA 一致同胞からの造血幹細胞移植が行われた.中央値で 17 ヵ月間の追跡調査の時点で,患者 7 例が生存し,感染防御に十分なレベルのドナー由来好中球が存在していた.
        この研究は,造血幹細胞移植に対する新規のアプローチを例示している.この手法は,慢性肉芽腫症に限らず,遺伝的変異が原因で必須の蛋白質が欠損する他の疾患にも適用可能である.しかし,この手法にもリスクがないわけではない.

        • 日本の学童のインフルエンザワクチン接種
          Vaccination of Japanese Schoolchildren against Influenza

          日本では,インフルエンザ対策として,学童にワクチン接種を行い,高齢者や他の高リスク集団へのウィルス伝播を予防することが行われてきた.50 年分のデータを用いた今回の分析によると,日本では,学童の大半がワクチン接種を受けた 1962 ~ 87 年の冬季月間に,超過死亡が顕著に減少していたことが示された.このワクチン接種プログラムが緩和されて以来,全死因死亡や,肺炎やインフルエンザ死亡に関して,冬季の超過死亡率の上昇が認められた.
          この報告はユニークな実験について記述している.なぜならば,日本は,高齢者ではなく学童を対象にインフルエンザワクチン接種プログラムを実施した唯一の先進国だからである.ワクチン接種が義務的であった期間には,インフルエンザに対する効果的な集団免疫が日本で成立したことを今回観察された死亡率の推移は示唆している.学童へのワクチン接種 420 例ごとに,約 1 例の死亡が予防された.

          • 最近の概念:頸動脈と椎骨動脈の自然解離
            Current Concepts: Spontaneous Dissection of the Carotid and Vertebral Arteries

            最近の概念:頸動脈と椎骨動脈の自然解離

            頸動脈と椎骨動脈の頭蓋外での自然解離は,内膜の剥離によって通常生ずる.こうした解離は特徴的な症状を示し,若年から中年における脳梗塞の重要な原因となる.

            • 疾患のメカニズム:慢性関節リウマチにおけるサイトカイン経路と関節の炎症
              Mechanisms of Disease: Cytokine Pathways and Joint Inflammation in Rheumatoid Arthritis

              疾患のメカニズム:慢性関節リウマチにおけるサイトカイン経路と関節の炎症

              リウマチ性関節炎はよくみる疾患であり,顕著な慢性的障害の原因となる.この論文は,リウマチ性関節炎の病理発生におけるサイトカインの役割 ─ 最近認可された数種の抗サイトカイン療法の開発に結びついた情報 ─ に関する総説である.