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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 3, 2001
Vol. 344 No. 18

  • 生活習慣の変更による 2 型糖尿病の予防
    Prevention of Type 2 Diabetes by Changes in Lifestyle

    生活習慣の変更による 2 型糖尿病の予防

    2 型糖尿病に対する変更可能な危険因子には,肥満と座りがちな生活習慣が含まれる.この研究では,耐糖能異常を伴う体重過多の被験者 522 例が無作為に割付けられ,食事と運動に関して,頻回の個別カウンセリングか,時折一般的な助言を受けた.平均 3.2 年の追跡期間中における糖尿病症例は,介入群では 27 例,対照群では 59 例であり,58%のリスク低下を認めた.
    肥満と運動不足が糖尿病の危険因子であるという知見は,新しい観察ではない.しかし,体重減少と運動量の増加が,糖尿病の罹患率の減少にこれほど大きな効果をもつという知見は,これまで前向き研究できちんと示されていなかった.この治療レジメンを広範に適用すれば,著明な効果があるだろう.

    • ACE 阻害剤治療に対する黒人患者と白人患者の反応
      Response to ACE-Inhibitor Therapy in Black Patients and White Patients

      心不全治療の効果が,白人患者よりも黒人患者で低いことを示唆するデータがある.この研究では,左室不全患者を無作為に割付け,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤のエナラプリルか,プラセボによる治療を行った.エナラプリル群の黒人患者では,心不全による入院リスクが低下しなかったのに対して,白人患者では,エナラプリルによりリスクが 44%低下するという結果だった.
      黒人の心不全患者は,白人患者と比べて,ACE 阻害剤に対する反応が小さい.この理由は不明だが,黒人患者の左室不全と心不全に対する治療の選択を考慮するうえで,今回の知見は重要である.

      • 心不全患者におけるカルベジロールの効果と人種
        Race and the Response to Carvedilol in Patients with Heart Failure

        心不全患者におけるカルベジロールの効果と人種

        心不全治療における β ブロッカーとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤の効果は,非黒人患者より黒人患者で低い傾向がある.β2 および α1 アドレナリン受容体阻害剤であるカルベジロールにも,こうした観察があてはまるか否かは明らかでない.この研究では,カルベジロールに,黒人患者でも非黒人患者でも同等の効果を認めた.
        心不全の頻度は,非黒人より黒人で高く,しかもいったん発症した後の進行は,非黒人より黒人で速い.ACE 阻害剤や標準的 β ブロッカーのような,心不全治療で頻用される薬剤の効果は,非黒人より黒人で小さい傾向がある.しかしカルベジロールには,この傾向が当てはまらないようである.

        • 妊娠前に免疫を獲得した女性の新生児に対する,サイトメガロウイルスの子宮内伝播
          Intrauterine Transmission of Cytomegalovirus to Infants of Women with Preconceptional Immunity

          先天性サイトメガロウィルス(CMV)感染症は,CMV に対する免疫がすでに獲得されている女性から産まれた新生児に発症することがある.しかし,CMV の同じ株と別の株のどちらが子宮内伝播することで,この感染症が生じるのかは明らかでない.CMV に対する免疫を獲得していた女性 46 例を対象とするこの研究では,16 例が CMV に感染した新生児を出産した.この母親 16 例の大部分で,以前の妊娠時に存在したものとは異なるウィルスのエピトープに特異的な血清抗体が存在した.また,数例の女性の血清で,感染した新生児から分離された CMV に対する中和活性を認めた.これに対して,新生児が感染しなかった母親では,抗 CMV 血清抗体の特異性が変化した例はほとんどなかった.
          この研究は,妊娠女性が妊娠前に獲得した CMV に対する免疫では,先天性 CMV 感染症を完全には防げない理由を理解する試みであり,新たに感染した別株のウィルスの子宮内伝播が,こうした感染症の原因であることを示唆している.したがって,CMV 感染の既往をもつ女性から産まれる新生児の先天性 CMV 感染症を予防するには,新たな感染の予防に焦点を当てることが必要になる.

          • 臨床診療:前立腺特異抗原検査
            Clinical Practice: Prostate-Specific–Antigen Testing

            臨床診療:前立腺特異抗原検査

            年齢以外に前立腺癌の危険因子がない 65 歳男性で,直腸指診の結果は正常である.前立腺特異抗原(PSA)検査を指示すべきだろうか?
            この論文は,現場の臨床医を対象とする新連載の総説の第 1 回を飾るものである.本稿では,前立腺癌検診に関する現行のアプローチを議論し,PSA 検査の使用を支持するエビデンスの評価を行っている.専門家団体のガイドラインをレビューし,診療上の勧告を提示している.

            • 医学の進歩:髄膜炎菌疾患
              Medical Progress: Meningococcal Disease

              医学の進歩:髄膜炎菌疾患

              髄膜炎菌は,米国における細菌性髄膜炎と膿瘍の主因であり,サハラ砂漠以南のアフリカ諸国における流行病の原因である.米国では,新生児と青少年の感染率がもっとも高い.喫煙は,重要かつ変更可能な危険因子であり,ハイリスク群のワクチン接種により,感染予防が可能である.この論文は,髄膜炎菌疾患の病理発生,診断,治療と,その化学予防に関して,最新の知見をまとめた総説である.