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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 6, 2001
Vol. 345 No. 10

  • HIV 感染患者における GB ウイルス C の重複感染と生存
    Coinfection with GB Virus C and Survival in HIV-Infected Patients

    HIV 感染患者における GB ウイルス C の重複感染と生存

    GB ウイルス C(GBV-C)は G 型肝炎ウイルスとしても知られ,C 型肝炎ウイルスに類似するが,肝疾患を引き起すとは考えられていない.先行研究では,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)疾患の進行が,GBV-C の重複感染者で遅くなることが示唆されてきた.この研究は,HIV 感染患者の生存に対する,GBV-C 重複感染の影響を検討した.GBV-C 感染は HIV 感染者に多くみられ,生存率の有意な改善と関連することが示された.

    この研究は,GBV-C の重複感染により,培養細胞における HIV の複製が抑制される証拠も見出した.GBV-C 感染の HIV 感染の治療における意義についての評価が,この知見により促進されるであろう.

    • GB ウイルス C と HIV 感染患者の生存
      GB Virus C and Survival in HIV-Infected Patients

      GB ウイルス C と HIV 感染患者の生存

      この研究は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者 197 例を対象に,GB ウイルス C(GBV-C)感染と,長期転帰との関連を調査した.GBV-C RNA 検査陽性の患者 33 例は,このウイルスの存在を示す証拠がない患者 164 例よりも生存期間が有意に長く,AIDS への進行が遅かった.GBV-C ウイルス負荷量と HIV ウイルス負荷量が逆相関していた.

      GBV-C が原因となるヒト疾患は知られていないが,GBV-C の重複感染が,HIV 感染患者の生存率の改善と関連することをこの研究は示唆している.重複感染により HIV の複製が抑制される可能性もあるが,GBV-C 感染が他の望ましい要因のマーカーにすぎない可能性もある.これらの問題の解決には,さらに研究が必要である.

      • 胃癌に対する補助化学放射線療法
        Adjuvant Chemoradiotherapy for Gastric Cancer

        胃癌に対する補助化学放射線療法

        この大規模無作為割付け試験では,切除可能な胃癌患者を,手術単独か,手術と術後の化学療法および放射線治療に割り付けた.追跡調査の中央値が 5 年になった時点での全生存期間と非再発生存期間は,補助化学放射線療法を行った治療群が,手術単独群よりも有意に長かった.

        胃癌の罹患率は,過去 20 年間一貫して低下し続けているが,依然として米国の癌死亡原因の第 8 位であり,年間 13,000 人が死亡している.手術が根治的なのは,症例の半数未満である.大規模で,慎重な進行管理を 行った今回の多施設臨床試験は,術後化学放射線療法が,胃切除後の生存率を実質的に改善しうることを示すものである.

        • 移植心臓の交感神経再支配
          Sympathetic Reinnervation of Transplanted Hearts

          移植心臓の交感神経再支配

          心臓移植後の早期には,移植心臓にレシピエントの交感神経支配が及んでい ない.心筋の陽電子放射線断層撮影法(PET)に基づくこの研究は,心臓移植後時間が経ってから神経支配が再び生じ,再神経支配によって,運動に対する心拍数や心収縮の反応が改善することを示している.

          指標に[11C]ヒドロキシエフェドリンを用いた心筋 PET スキャンで,心臓の交感神経再支配が移植後に生じうることを研究者らは示している.この再神経支配が,心機能を改善する作用があることも今回明らかに なった.

        • CLINICAL PRACTICE

          • 臨床診療:慢性僧帽弁逆流
            Clinical Practice: Chronic Mitral Regurgitation

            臨床診療:慢性僧帽弁逆流

            心疾患の既往と心症状のない 56 歳男性に,腋窩に放散する心尖部の全収縮期雑音がある.心臓超音波検査では,軽度の左室拡張を伴う,中等度の僧帽弁逆流を認める.この患者の治療は,どのように行うべきだろうか?

          REVIEW ARTICLE

          • 免疫学の進歩:自己免疫性および炎症性疾患における免疫グロブリンの効果
            Advances in Immunology: Effects of Immune Globulin in Autoimmune and Inflammatory Diseases

            免疫学の進歩:自己免疫性および炎症性疾患における免疫グロブリンの効果

            免疫グロブリンの静注投与は,抗体欠損症に対する補充治療としてのみならず,自己免疫性および炎症性疾患の多くのものに対する治療としても用いられている.免疫学シリーズの一部であるこの論文では,免疫グロブリン静注投与が免疫系に及ぼす影響や,多様な自己免疫疾患において,治療効果として考えられる機序についてまとめている.

          CLINICAL PROBLEM-SOLVING

          • Clinical Problem-Solving:消え去らない滲出液
            Clinical Problem-Solving: The Effusion That Would Not Go Away

            Clinical Problem-Solving:消え去らない滲出液

            長期間血液透析を受けていた末期腎疾患の 36 歳男性が,増大する労作時呼吸困難で受診した.胸部 X 線で,大量の左側胸水を認めた.