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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 13, 2001
Vol. 345 No. 11

  • 航空機旅行に関連する肺塞栓症
    Pulmonary Embolism Associated with Air Travel

    航空機旅行に関連する肺塞栓症

    長時間の飛行中は体動が制限されることから,航空機旅行に関連して,肺塞栓症のリスクが上昇すると広く信じられている(いわゆるエコノミークラス症候群).この研究では,重症肺塞栓症のリスクを,飛行距離の関数として推定した.飛行距離が 5,000km(3,100 マイル)を超えると,リスクが有意に上昇した.
    航空機旅行に関連する肺塞栓症には,静脈うっ血,血管壁の損傷,凝固系の亢進が関与すると思われる.この研究では,飛行終了後に対象者が旅客機から出る前に症状が発現しており,長時間座っていたあとに歩くことが,塞栓症の誘因になることを示唆している.

  • Helicobacter pylori 感染と胃癌
    Helicobacter pylori Infection and Gastric Cancer

    <i>Helicobacter pylori</i> 感染と胃癌

    Helicobacter pylori と胃癌発生の関連が認められてきたが,この関連性の多くの側面が,いまだ明らかにされていない.この日本からの前向き研究では,1,500 例を超える十二指腸潰瘍,胃潰瘍,胃過形成性ポリープ,非潰瘍性消化不良 NUD の患者を,平均 7.8 年間追跡した.胃癌は,H. pylori 感染者の 2.9%に発生したが,非感染者には発生しなかった.胃潰瘍,胃過形成性ポリープ,NUD を伴う感染者はリスクが高かったが,十二指腸潰瘍を有する感染者のリスクは高くなかった.
    今回の知見は,H. pylori 感染と胃癌発生を結び付ける証拠を強化するものである.彼らは多様な胃疾患の患者において,除菌のための措置をとるべきであることを示唆している.

  • 女性における食事と生活様式と 2 型糖尿病のリスク
    Diet, Lifestyle, and Type 2 Diabetes in Women

    2 型糖尿病のリスクと,多数の食事要因や生活様式要因との関連が,個別に示されてきた.しかし,これらの要因の組み合せによる影響は,定量的に検討されてこなかった.研究者らは,16 年間の追跡調査を行った 84,000 名を超える女性のコホート集団から発生した,2 型糖尿病の新規発症例 3,300 名を検討した.過体重,運動不足,不健康な食事,喫煙,禁酒という五つの危険因子が,寄与危険の 90%近くを占めた.もっとも重要な因子は肥満であった.
    2 型糖尿病のリスクには複数の要因が寄与するが,体重がもっとも重要な要因であることを今回のデータは示している.したがって,食事の改善と運動を伴う減量によって,2 型糖尿病の予防が可能であろう.

  • 横紋筋融解症の原因としての野生キノコ中毒
    Mushroom Poisoning as a Cause of Rhabdomyolysis

    横紋筋融解症の原因としての野生キノコ中毒

    横紋筋融解症はまれな疾患だが,ときに致命的となる.この論文は,野生キノコであるキシメジの料理を食べた 12 名に生じた横紋筋融解症(3 名が死亡)について報告している.著者らは,Tricholoma equestre 抽出物が,マウスで横紋筋融解症を引き起すことを示したが,これは因果関係の存在を強く支持するものである.T. equestre 中の毒性代謝産物は,まだ同定されていない.
    野生キノコを食べることが次第に流行ってきたため,キノコ中毒の発生率も増加している.今回の報告は,ある種のキノコ類が,横紋筋融解症の原因となる可能性があることを示している.

  • 最近の概念:セファロスポリン・アレルギー
    Current Concepts: Cephalosporin Allergy

    最近の概念:セファロスポリン・アレルギー

    セファロスポリンに対する反応として多いのは,皮疹,血清病様反応,発熱である.アナフィラキシー反応はまれだが,ペニシリンアレルギーの既往患者では,リスクが上昇する場合がある.この総説では,セファロスポリンやペニシリンに対するアレルギーがある患者に対する,抗菌剤の使用法を概括している.

  • 薬物療法:要処方箋から市販(OTC)で入手できるよう薬剤の状況を変える
    Drug Therapy: Changing Drugs from Prescription to Over-the-Counter Status

    薬物療法:要処方箋から市販(OTC)で入手できるよう薬剤の状況を変える

    処方箋を必要とせずに入手できる薬剤の種類が増加している.この論文では,薬剤を市販薬として販売するさいに満たすべき規制要件について概説し,処方箋によってのみ入手できた薬剤が市販で入手できるようになった場合に想定される利益と害の可能性について検討している.