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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 4, 2001
Vol. 345 No. 14

  • 大腸菌(Escherichia coli)の多剤耐性クローンによる尿路感染症
    Urinary Tract Infections from a Multidrug-Resistant Clone of Escherichia coli

    大腸菌(<i>Escherichia coli</i>)の多剤耐性クローンによる尿路感染症

    カリフォルニア州の大学健康センターで治療を受けた,E. coli による尿路感染症の女性の 22%から,トリメトプリム・スルファメトキサゾール耐性株が分離された.これらの分離株の半数は,同一のクローン群に属していた.このクローン群はまた,ミシガン州とミネソタ州における尿路感染症の女性から分離された E. coli 耐性株の 1 / 3 以上を占めていた.
    これまで認識されていなかった単一クローンの E. coli が,米国の 3 地域における市中尿路感染症の相当部分に関与していると考えられる.今回の驚くべき結果は,尿路感染症を散発的な事象として捉える従来の見方に異議を唱えるものである.このクローンの伝播により,E. coli 尿路感染症における抗菌剤耐性が増加する可能性がある.

  • 急性冠症候群における B 型ナトリウム利尿ペプチド
    B-Type Natriuretic Peptide in Acute Coronary Syndromes

    急性冠症候群における B 型ナトリウム利尿ペプチド

    脳型(B 型)ナトリウム利尿ペプチドは,心室の心筋細胞で合成される神経ホルモンであり,血行力学的な負荷の増大に反応して放出される.急性冠症候群の患者 2,525 例を対象とするこの研究では,このペプチドの循環血中濃度が,10 ヵ月間の死亡,心筋梗塞の初発と再発,心不全のリスクに関する,独立の予測因子であった.
    この研究は,B 型ナトリウム利尿ペプチドが急性冠症候群の患者における予後予測の生体マーカーとして有用であることを示すだけではなく,神経ホルモンの活性化が,急性冠症候群後死亡の高リスク患者に共通の特徴である可能性も示している.

  • 急性冠症候群のマーカーとしての妊娠関連血漿蛋白 A
    Pregnancy-Associated Plasma Protein A as a Marker of Acute Coronary Syndromes

    急性冠症候群のマーカーとしての妊娠関連血漿蛋白 A

    妊娠関連血漿蛋白 A(PAPP-A)は,当初妊娠女性の血清中で同定されたメタロプロテイナーゼで,動脈硬化を促進する可能性がある.この研究では,心原性の突然死患者における冠動脈の不安定プラーク中に多量の PAPP-A を認めたが,安定プラーク中には認めなかった.さらに循環血中の PAPP-A 濃度は,不安定狭心症や急性心不全の患者のほうが,安定型狭心症の患者や正常対照よりも高値であった.
    PAPP-A は,ダウン症候群のマーカーとして利用されてきたが,不安定冠動脈プラークのマーカーとしても有用な可能性がある.この研究の結果が確認されれば,クレアチニンキナーゼ MB,トロポニン I と T,C 反応性蛋白などの,不安定冠動脈疾患に関するほかのマーカーに加えて,PAPP-A が追加的な診断情報をもたらす可能性がある.

  • β2 -アドレナリン受容体の遺伝子多型と血管反応性
    Polymorphisms of the β2-Adrenergic Receptor and Vascular Reactivity

    β<sub>2</sub> -アドレナリン受容体の遺伝子多型と血管反応性

    健常者を対象とするこの研究では,β2 -アドレナリン受容体について一般的な二つの多型が,β2 -アドレナリン作動薬に対する血管反応性に影響することが認められた.Arg16 の多型は,作動薬に対する感受性の急速な喪失と関連したのに対して,Gln27 の多型は,作動薬による血管拡張作用の増強と関連していた.
    これらの知見は,血管反応性の遺伝的調節に対するわれわれの理解を進歩させるものであり,高血圧の病態発生や血管反応性の人種差にも意義を有する可能性がある.

  • 重度の遺伝性 B 細胞欠損症にもかかわらず発症する1 型糖尿病
    Development of Type 1 Diabetes despite Severe Hereditary B-Cell Deficiency

    1 型糖尿病は,膵臓 β 細胞の免疫的機序による破壊の結果として生ずるが,その病態発生について議論が続いている.自己免疫性糖尿病における T 細胞の役割は広く承認されているが,B 細胞と自己抗体の役割についてはそれほど明らかではなかった.この報告は,X 連鎖無ガンマグロブリン血症のため機能性 B 細胞が存在しない 10 代の少年における,1 型糖尿病の発生を報告している.
    この症例報告は,1 型糖尿病の発生に B 細胞が必要ないことを明確に示している.この報告はまた,B 細胞や自己抗体を標的とする免疫療法が,高リスク患者における β 細胞の破壊を防げない理由も説明しうるものである.

  • 免疫学の進歩:ワクチンと予防接種
    Advances in Immunology: Vaccines and Vaccination

    免疫学の進歩:ワクチンと予防接種

    世界保健機関による 1998 年の調査によれば,主にウイルスが原因の下痢と急性呼吸器感染症により,600~700 万人の小児が毎年世界で死亡している.ヒト免疫不全ウイルス,マラリア,結核菌への感染により,毎年 700~800 万人が死亡している.ワクチン接種は,これらの致死的な感染症やその他の感染症を予防するもっとも実用的な手段である.免疫学シリーズの一部であるこの総説は,現在使用されているワクチンを分析し,ワクチンが無効になりうる理由を説明している.さらに既存のワクチンの改良だけではなく新種のワクチンの開発も可能にする,新様式の技術について言及している.