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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 11, 2001
Vol. 345 No. 15

  • 肺気腫に対する手術
    Surgery for Emphysema

    肺気腫に対する手術

    この論文は,メディケアと国立保険研究所の助成による,肺気腫に対する内科治療と外科治療を比較した共同研究の結果の一部を報告している.重度の肺機能低下がある患者では,手術によって初期 30 日間における死亡が,内科的治療を受けた患者に比べ上昇し,手術後生存した患者の状態もさほど改善しないことを,研究者らは見出した.
    今回のデータは,肺気腫の手術に関する最初の対照化試験の分析結果を示しており,外科治療に価値がないと思われる重症患者の一群の存在を示している.

    • 頸動脈狭窄症に関連した一過性の単眼失明後の予後
      Prognosis after Transient Monocular Blindness Associated with Carotid-Artery Stenosis

      頸動脈狭窄症に関連した一過性の単眼失明後の予後

      内頸動脈狭窄症の患者には,一過性単眼失明と脳半球の一過性脳虚血発作という,2 種類の一過性虚血発作が生ずる場合がある.この大規模な研究では,一過性失明の患者における同側性脳梗塞の続発リスクは,脳半球の脳虚血発作の患者におけるリスクの約半分であった.
      この研究は,一過性単眼失明というよくみられる症状を有する患者について,価値ある予後情報を提供している.第二の解析は,一過性単眼失明と他の脳卒中危険因子をもつ患者において,頸動脈内膜切除術により脳卒中の続発リスクが低下する可能性を,確実とはいえないが,開示するものである.

      • 高齢患者における結腸癌切除後の補助化学療法
        Adjuvant Chemotherapy for Resected Colon Cancer in Elderly Patients

        高齢患者における結腸癌切除後の補助化学療法

        大腸癌手術の成功後に,70 歳を超える患者は,術後補助化学療法により生存が延長するにもかかわらず,若年患者と比べて化学療法を受ける傾向が低い.こうした化学療法の低利用には,化学療法は高齢者に対して過剰な毒性があるという通念が関係している.結腸癌の切除後の補助化学療法に関する 7 件の無作為割付け試験のデータを集めたこの分析によれば,特定の高齢患者では,化学療法が有益だっただけではなく,治療に対する耐容性も若年患者と同程度に良好であったことが認められた.
        大腸癌を切除し,それ以外の点では健康な高齢患者に対する補助化学療法を支持する説得的な意見を,著者らは示している.こうした治療を選択する前には慎重な評価が必要だが,補助化学療法の対象から高齢者を常に除外する理由はない.

        • インフリキシマブと結核
          Infliximab and Tuberculosis

          インフリキシマブ(infliximab)は,ヒト型抗腫瘍壊死因子 α(TNF-α)抗体であり,慢性関節リウマチとクローン病の治療に用いられている.米国食品医薬品局は,中央値で 12 週間のインフリキシマブ治療後に発症した活動性結核の患者 70 例の報告があった.少なくとも 4 例の結核死があった.
          インフリキシマブによる治療を開始する前に,医師は患者の結核をスクリーニングすべきである.慢性関節リウマチの患者では,インフリキシマブ治療に関連した結核の頻度は,期待値の 4 倍と考えられる.活動性結核と抗 TNF-α 治療との関連性は,潜在性結核菌感染の制御に TNF-α が何らかの役割を果していることを示唆している.

          • Special Article:健康保険不加入が中年後期の健康に及ぼす影響
            Special Article: The Effects of Lack of Health Insurance on Health in Late Middle Age

            55~65 歳の米国民の約 6 人に 1 人は,健康保険に加入していない.この前向き研究では,1992 年における 51~61 歳の全国成人標本の健康に対する,保険不加入の独立の影響を検討した.1992~96 年の期間に,継続的不加入または断続的不加入だった者は,継続的に健康保険に加入していた者よりも,全般的健康状態が大きく低下する傾向がより強かったことをこの研究は見出した.継続的ないし断続的な不加入者は,歩行や階段昇りに新たな困難が生ずる傾向もより強かった.
            この研究は,健康保険の不加入が全身健康状態の低下と関連するという証拠を追加するものであり,中年後期における健康保険加入率を向上させることの重要性を強調している.

            • 臨床診療:頭蓋外の頸動脈狭窄症
              Clinical Practice: Extracranial Carotid Stenosis

              臨床診療:頭蓋外の頸動脈狭窄症

              喫煙と高コレステロール血症の既往がある 64 歳男性に,突然で一過性の左眼の視力喪失が生じた.理学的検査の結果,左頸部の血管雑音以外は正常であった.高解像度頸動脈超音波検査では左頸動脈の 60~79%の狭窄が示され,磁気共鳴血管造影法でも確認された.この患者の治療を,いかに行うべきか?
              この論文は,症候性または無症候性の頸動脈狭窄症患者の治療についてまとめている.