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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

November 29, 2001
Vol. 345 No. 22

  • 冠動脈疾患の予防におけるシンバスタチンとナイアシン,抗酸化ビタミン,あるいはそれらの併用
    Simvastatin plus Niacin, Antioxidant Vitamins, or the Combination for Prevention of Coronary Disease

    冠動脈疾患の予防におけるシンバスタチンとナイアシン,抗酸化ビタミン,あるいはそれらの併用

    冠動脈疾患で,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール濃度が低い患者は,冠動脈イベントのリスクがある.この臨床試験では,3 年間における冠動脈イベントの頻度を減少させ,血管造影で計測した冠動脈病変部の若干の退縮を生じさせるうえで,ナイアシンとシンバスタチンの併用療法が非常に有効なことが認められた.その一方,抗酸化ビタミンには利益がなく,ナイアシンとシンバスタチンの有益な効果は,抗酸化ビタミンを追加することで減弱した.
    ナイアシンとシンバスタチンの併用療法は,低比重リポ蛋白コレステロール濃度を低下させると同時に HDL コレステロール濃度を上昇させるので,冠動脈疾患で HDL コレステロール濃度が低い患者に対して,重要な臨床的有益性がある.抗酸化薬は推奨できない.

  • ビタミン療法による冠動脈形成術後の再狭窄率の低下
    Protease Inhibitors and Reduced Mortality in Children with HIV-1

    ビタミン療法による冠動脈形成術後の再狭窄率の低下

    この二重盲検試験では,葉酸,ビタミン B12,ピリドキシンの併用療法により,冠動脈形成術を行った患者の再狭窄率が低下することが認められた.ステント留置を受けた患者のほうが,留置を受けない患者よりも効果が小さかった.ビタミン療法により,血漿ホモシステイン濃度も低下したが,これはビタミン療法の臨床効果の機序を示している可能性がある.
    今回の結果は,ビタミン補給という,比較的単純で費用のかからない介入により,冠動脈形成術後の再狭窄リスクが低下する可能性を示唆するものである.おそらく今回の有益な効果は,血漿ホモシステイン濃度の低下を介したものと考えられるが,ビタミン療法による他の効果も関与している可能性もある.

  • 原発性肺炎型野兎病の流行
    An Outbreak of Primary Pneumonic Tularemia

    原発性肺炎型野兎病の流行

    2000 年夏,マサチューセッツ州マーサズ・バインヤード島で,野兎病が集団発生した.この症例対照研究では,原発性肺炎型野兎病の患者 11 例を含む,Francisella tularensis(野兎病菌)の感染患者 15 例を同定した.患者 1 例が死亡した.患者は,罹患前の 2 週間に,芝刈り機または雑木林用伐採機を使用した割合が,対照群よりも高かった.
    原発性肺炎型野兎病は,野兎病菌の吸入により生じ,野兎病の病型としてはもっとも重症である.今回の集団発生に関する分析は,芝刈りまたは雑木林の伐採によって,野兎病菌が噴霧化したことを示唆している.

  • 米国において発生したバイオテロリズムによる致死的吸入炭疽病の発端症例
    Index Case of Fatal Inhalational Anthrax Due to Bioterrorism in the United States

    この症例報告は,最近 25 年間の米国における最初の致死的吸入炭疽病の症例について記述している.63 歳の新聞写真編集者が,急速に進行する発熱性疾患に罹患した.腰椎穿刺では,多数の多形核白血球と,単独および鎖状に連なる多数のグラム陽性菌を伴う,混濁した脳脊髄液を認めた.吸入炭疽病として診断され,強力な治療を行ったにもかかわらず,患者は間もなく死亡した.生物学的テロリズムにより炭疽芽胞を混入させた郵便物を通して,感染症が伝播したものと考えられた.

  • Special Article : Shattuck 講演 ― 医療の質の改善を阻む隠れた障壁
    Special Article: Shattuck Lecture ― Hidden Barriers to Quality Improvement

    Shattuck 講演は,マサチューセッツ州医学会の年次総会で行われる.第 111 回講演において,Barbara McNeil 博士は,健康政策における中核的問題のひとつである,医療の質の改善に対する障壁について考察を行った.博士は,治療や診断に関する介入のどれが本当に有効かという問題に関する不確実性と,有益な可能性のある医学的治療や技術の利用抑制を帰結しかねない医療費をめぐる圧力という,鍵となる二種類の障害に焦点をあてている.

  • 最近の概念:炭疽病の診断と管理
    Current Concepts: Recognition and Management of Anthrax

    最近の概念:炭疽病の診断と管理

    一般に炭疽病として知られる Bacillus anthracis 感染症が,バイオテロリズムの武器として再び出現した.この総説は,炭疽病に関する 1999 年の総説を再説し改訂したものであり,この危険な感染症の可能性がある症例に直面する医師向けの,実用的な情報を含んでいる.