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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 9, 2001
Vol. 345 No. 6

  • 生死にかかわる心室性頻拍性不整脈後の運転の再開
    Resumption of Driving after Life-Threatening Ventricular Tachyarrhythmia

    生死にかかわる心室性頻拍性不整脈の患者は,車の運転時に,患者自身と他者を危険にさらす可能性がある.この研究では,抗不整脈薬または植込み型除細動器で心室性頻拍性不整脈の治療を受けた患者 758 例の運転歴を調査した.患者の運転中における,不整脈との関連が考えられる症状の頻度は高かったが,事故の頻度はまれであり,米国の一般運転人口の頻度よりも低かった.
    薬物や植込み型除細動器で治療を受けた,生死にかかわる心室性頻拍性不整脈の患者に対する運転禁止の是非は,不確実な問題であり議論の対象となっている.今回報告されたデータは,こうした患者の運転を許可する方針を支持している.

    • ヌクレオシド類似化合物治療失敗後の HIV 治療
      Treatment of HIV after Nucleoside Analogues Fail

      ヌクレオシド類似化合物治療失敗後の HIV 治療

      ヌクレオシド類似化合物による集中的治療を受けた HIV 感染患者には,より新しい種類の抗ウイルス薬を用いた,多数の治療選択肢がある.この無作為割付け試験では,2 種類のヌクレオシド類似化合物に加えて,プロテアーゼ阻害剤,非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤,またはその双方を投与する治療を評価した.48 週間で,ネルフィナビルとエファビレンツを含む 4 剤併用療法を受けた患者で,血漿 HIV RNA の抑制率がもっとも高かった.
      この多施設臨床試験は,抗ウイルス療法を受けてその効果が消失してしまった患者 195 例を対象とした.3 種類の薬剤を用いた治療に移行することで,ウイルス抑制率は最高となった.しかしこの治療戦略は,将来の選択肢を制限し,新たな毒性を生じさせる危険がある.

      • 内皮プロテイン C の活性化と髄膜炎菌血症
        Endothelial Protein C Activation in Meningococcemia

        内皮プロテイン C の活性化と髄膜炎菌血症

        内皮プロテイン C 活性化経路の破壊は,髄膜炎菌血症における初期事象かもしれない.重症髄膜炎菌疾患と電撃性紫斑病の小児 21 例の皮膚生検標本を検討したところ,血栓が生じた血管と生じなかった血管の双方において,トロンボモジュリンと内皮プロテイン C 受容体の発現が著しく低下していることが示された.プロテイン C 抗原,プロテイン S 抗原,抗トロンビン抗原の血漿濃度は,健常対照よりも低かった.
        血栓症の局所管理には,血栓を促進する機序と抑制する機序の微妙なバランスが関与しており,研究がむずかしい.今回の結果は,重症髄膜炎菌疾患における,内皮の抗凝固経路の障害を示している.活性化プロテイン C による治療が,髄膜炎菌血症における破壊的な血栓症の一対処法になりうる可能性がある.

        • 小児における脳静脈洞血栓症
          Cerebral Sinovenous Thrombosis in Children

          小児における脳静脈洞血栓症

          脳の静脈洞や静脈の血栓症は,頻度は低いが,小児における神経障害の深刻な原因である.カナダの登録データを用いたこの研究では,新生児が,罹患頻度のもっとも高い年齢群であった.低酸素脳症,頭頸部感染症,血栓性疾患などが危険因子であった.痙攣と脳静脈梗塞の存在が,不良転帰の予測因子であった.
          この大規模な登録研究は,この衰弱性疾患の臨床特性に対して貴重な洞察をもたらすものである.リスクのある小児を同定し,抗血栓療法の役割を明確にし,一次予防と二次予防の方法を開発するうえで,今回の情報はとりわけ有用である.

          • 最近の概念:中毒性白質脳症
            Current Concepts: Toxic Leukoencephalopathy

            最近の概念:中毒性白質脳症

            中毒性白質脳症は,主に高次脳機能を支配する白質路を冒し,その臨床的特徴は,不注意から性格変化まで広範で,重篤な痴呆症にいたる.この総説は,脳への放射線照射や,数種の抗癌剤,乱用薬,工業溶剤への曝露を含む多数の原因と,疾患の診断に対するアプローチを要約している.

            • 薬物療法:コキシブ(Coxibs),シクロオキシゲナーゼ-2 の選択的阻害剤
              Drug Therapy: The Coxibs, Selective Inhibitors of Cyclooxygenase-2

              シクロオキシゲナーゼ-2 を選択的に阻害する薬剤には,シクロオキシゲナーゼ-1 とシクロオキシゲナーゼ-2 の双方を阻害する薬剤と同様の抗炎症作用があるが,消化管の副作用はより少ない可能性がある.この総説では,関節炎の患者におけるシクロオキシゲナーゼ-2 阻害剤の効果と,これらの薬剤が消化器,循環器,腎に及ぼす作用を評価している.