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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
October 23, 2008
Vol. 359 No. 17
ORIGINAL ARTICLE
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進行大腸癌における K-ras の変異とセツキシマブ
K-ras Mutations and Cetuximab in Advanced Colorectal Cancerこの研究では,上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体であるセツキシマブの臨床試験に登録された患者の大腸腫瘍において,K-ras 遺伝子の変異状態を検討した.生存への利益は,K-ras が野生型の腫瘍を有する患者で認められたが,K-ras が変異した腫瘍を有する患者では認められなかった.野生型の K-ras は,EGFR によるシグナルの伝達に不可欠である.
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幹細胞移植におけるドナーの TLR4 多型とアスペルギルス症
Donor TLR4 Polymorphisms and Aspergillosis in Stem-Cell TransplantationToll 様受容体(TLR)は,先天性免疫応答の中心的要素である.さまざまな TLR が,さまざまな感染性病原体に対する免疫応答と関連している.この後ろ向き解析では,非血縁ドナーから同種造血幹細胞移植を受けた患者における侵襲性アスペルギルス症への感受性増加は,ドナーの TLR4 の特定の多型と関連していた.
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心房細動に対する肺静脈隔離術
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation症候性の心房細動を有する心不全患者に対しては,肺静脈隔離術のほうが,房室結節アブレーション+両室ペーシングよりも優れていることが明らかになった.アブレーションによる肺静脈の隔離は,薬物抵抗性の心房細動を有する心不全患者において,実行可能な選択肢である.
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早期多発性硬化症に対するアレムツズマブとインターフェロン β-1a の比較
Alemtuzumab vs. Interferon Beta-1a in Early Multiple Sclerosis治療歴のない早期再発寛解型多発性硬化症を対象としたこの無作為化第 2 相試験では,リンパ球や単球上の CD52 を標的とするモノクローナル抗体であるアレムツズマブは,障害の進行や再発を減少させるうえで,インターフェロン β-1a よりも有効であった.アレムツズマブは,免疫性血小板減少性紫斑病(1 例は死亡)や甲状腺疾患などの,自己免疫疾患の合併症を引き起こした.
SPECIAL ARTICLE
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クロピドグレルに関する処方規定変更後の心血管転帰
Cardiovascular Outcomes after a Change in Prescription Policy for Clopidogrelクロピドグレルの使用に関して,事前許可を要するプログラムが 2000 年にカナダで実施された.2003 年 9 月に事前許可規定が撤廃されると,心筋梗塞後に冠動脈ステント留置術を受ける患者へのクロピドグレルの使用が大幅に増加し,臨床転帰が改善した.
MEDICAL PROGRESS
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尿酸と心血管リスク
Uric Acid and Cardiovascular Riskこの総説では,尿酸と,高血圧・腎疾患・心血管疾患に尿酸が関連する可能性について論じた関連研究をまとめている.尿酸がこれらの疾患の独立した危険因子であるかどうかは,いまだに議論されている.最新のエビデンスが提示されている.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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労作時の呼吸困難を呈する女性
A Woman with Dyspnea on Exertion63 歳の女性が,3 週にわたる労作時の呼吸困難と,それに伴う左肩甲骨下の灼熱痛,軽度の乾性咳嗽のため入院した.女性には潰瘍性大腸炎の既往があり,つい最近アザチオプリンとインフリキシマブで治療が行われたところであった.診察では,吸気時に喘鳴とラ音が認められ,呼気時の喘鳴は聴取されなかった.胸部画像診断により,両側下葉のスリガラス状陰影が示された.診断手技が行われた.
CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH
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持久状態での運動
An Exercise in EnduranceAMP 活性化プロテインキナーゼ作動薬を投与されたマウスには,運動負荷を与えられた対照に比べて,持久力の増加が認められた.