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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 30, 2008
Vol. 359 No. 18

ORIGINAL ARTICLE

  • 極低出生体重児に対する早期インスリン療法
    Early Insulin Therapy in Very-Low-Birth-Weight Infants

    極低出生体重児を対象としたこの多国間無作為化比較試験は,早期インスリン補充療法を行うことで,高血糖の発現が減少し,死亡と発病に影響を及ぼすかどうかを検討するために行われた.乳児には生後 1 週間のあいだ,ブドウ糖液とインスリンの静脈内持続投与か,または標準的な新生児ケアを行った.試験結果から,極低出生体重児に早期インスリン療法を行っても,臨床上の有益性はほとんど得られないことが明らかになった.

  • 超低出生体重児に対する積極的光線療法と従来型光線療法の比較
    Aggressive vs. Conservative Phototherapy for Infants with Extremely Low Birth Weight

    出生体重 1,000 g 以下の乳児を対象としたこの無作為化試験では,積極的光線療法により,従来型光線療法と比較して修正月齢 18~22 ヵ月の時点での死亡率および神経発達障害の発生率は有意に低下しなかったが,神経発達障害の発生率は低下した.事前に計画されたサブグループ解析からは,出生体重 501~750 g の乳児では,積極的光線療法により死亡率が上昇した可能性が示唆された.これらの結果は,低出生体重児に積極的光線療法を行うかどうかを決定する際の指針として役立つであろう.

  • C 反応性蛋白の遺伝的な増加と虚血性血管障害
    Genetically Elevated C-Reactive Protein and Ischemic Vascular Disease

    デンマークにおける 4 つの患者コホートの研究において,被験者を C 反応性蛋白(CRP)遺伝子における 4 つの一塩基多型で分類した.得られた遺伝子型は,最大 64%の CRP 値の上昇と相関しており,虚血性心疾患リスクと虚血性脳血管障害リスクの有意な増加が予測された.しかし,実際にはリスクの増加はみられなかったことから,CRP 値と血管リスクのあいだの既知の関連に因果関係はないことが示唆される.

  • 1 型糖尿病発症直後の GAD とインスリン分泌
    GAD and Insulin Secretion in Recent-Onset Type 1 Diabetes

    この試験は,1 型糖尿病の主要な自己抗体であるグルタミン酸脱炭酸酵素 65(GAD)のアルミアジュバントの注射により,発症直後の 1 型糖尿病が回復するかどうかを検討するために行われた.C ペプチド値(主要エンドポイント)は投与群,対照群ともに低下し,15 ヵ月の時点で有意な群間差は認められなかったが,投与により,30 ヵ月目まで,さらに緩やかな,有意な低下が認められた.著者らは,発症直後の 1 型糖尿病患者において,アルミアジュバント GAD は残存インスリン分泌能の維持を助ける可能性があると結論付けている.

SPECIAL ARTICLE

  • 米国の病院医療に対する患者の認識
    Patients' Perception of Hospital Care in the U.S.

    この研究は,病院における患者の経験に関する大規模調査に基づいて行われた.看護師の配置率がもっとも高い病院は,ケアの満足度に関して患者からもっとも高い評価を受けていた.さらに,患者からもっとも高い満足度評価を受けた病院は,もっとも低い評価を受けた病院に比べて,提供した臨床ケアの質が若干高かった.

CURRENT CONCEPTS

  • かつてなく扱いにくい Clostridium difficile
    Clostridium difficile - More Difficult Than Ever

    日和見病原体である C. difficile は,変異により感染の有病率が上昇し,より強毒化している.この論文では,C. difficile 感染の疫学にみられる最近の動向をまとめ,疾患の重症度の変化と治療への反応に関する情報を説明している.新規抗菌薬1932 ページ;CME,1973 ページ,プロバイオティクス,免疫療法,細菌製剤療法の使用についても論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 頸部痛と発熱を呈する女性
    A Woman with Neck Pain and Fever

    58 歳の女性が,重度の頸部痛と発熱を呈し,画像検査にて軽度の脊髄圧迫の所見を伴う脊髄硬膜外の腫瘤が第 4~7 頸椎にわたって認められたため,当院に搬送された.診断検査の結果は搬送の直前に届けられた.