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May 15, 1997 Vol. 336 No. 20

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乳癌のリスク評価のための診療所に来院する女性における BRCA1 変異
BRCA1 MUTATIONS IN WOMEN ATTENDING CLINICS THAT EVALUATE THE RISK OF BREAST CANCER

F.J. COUCH AND OTHERS

背景

乳癌のリスクを評価する診療所の通院患者における BRCA1 変異の発生率を明らかにするため,われわれは,通院女性の DNA サンプルを分析し,それぞれの家族における BRCA1 変異を発見する可能性を推定する確率表を作成した.

方 法

臨床情報,家族歴,そして DNA 分析用血液を,乳癌女性 263 人から採取した.立体配座感受性ゲル電気泳動および DNA 配列決定によって BRCA1 変異を特定した.

結 果

家族歴に乳癌を有する女性 16%に BRCA1 変異を確認した.乳癌の既往を有するが卵巣癌の既往を有しない家系では,BRCA1 変異を示したのは 7%にすぎなかった.発生率は,乳癌と卵巣癌の双方の既往を有する家系の女性で高かった.乳癌診断時の平均年齢が 55 歳未満,卵巣癌の存在,同一女性における乳癌と卵巣癌の存在,そしてアシュケナジ系ユダヤ人であることはすべて,家族構成員における BRCA1 変異検出のリスクを増加させた.両側の乳癌の存在または 1 家族中の乳癌の症例数と BRCA1 変異の検出とのあいだに,または BRCA1 遺伝子変異の位置と家族における卵巣癌の存在とのあいだには,関連を認めなかった.

結 論

乳癌女性および家族に乳癌の既往を有する女性では,BRCA1 コード領域変異の割合は,遺伝子連鎖分析によって予測された 45%よりも少ない.これらの結果は,高リスク家系の女性のスクリーニングを専門とする付託診療所においても,BRCA1 変異試験の大多数が陰性で,したがって有益でないことを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1409 - 15. )