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June 19, 1997 Vol. 336 No. 25

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閉経後ホルモン療法と死亡率
POSTMENOPAUSAL HORMONE THERAPY AND MORTALITY

F. GRODSTEIN AND OTHERS

背景

閉経後ホルモン療法には,骨粗鬆症および心血管疾患のリスクの減少,ならびに乳癌のリスクの増加などの有益性と有害性の両面がある.

方 法

1976 年のベースライン時に 30~55 歳であった看護婦健康調査の参加者について,閉経後ホルモンの使用と死亡率との相関を調査した.1976 年に開始し 1992 年まで継続した隔年の質問書によって,データを収集した.1976~94 年のあいだに 3,637 例の死亡を記録した.死亡した参加者 1 人に対して,その参加者の死亡時生存している対照者 10 人とマッチさせた.死亡のそれぞれについて,死亡前の最後の隔年質問書,または致命的疾患の診断前の隔年質問書によって,被験者のホルモン状態を明確にした;これにより,致命的である可能性がある疾患の診断時から死亡までの期間のホルモン使用の中止によって起る偏りが減少した.

結 果

交絡変数に関して補正後,ホルモン使用中の者は,ホルモンを決して服用したことがない被験者より死亡のリスクが低かった(相対危険度,0.63;95%信頼区間,0.56~0.70);しかし,長期ホルモン使用者では乳癌の死亡率の増加のために,明白な利益は長期使用によって減少した(相対危険度,0.80;0.67~0.96,10 年目以降).冠血管危険因子を有するホルモン使用中の者(女性の 69%)は,死亡率の低下がもっとも大きいが(相対危険度,0.51;95%信頼区間,0.45~0.57),リスクの低い使用者ではその利益性は明らかに小さかった(女性の 13%;相対危険度,0.89;95%信頼区間,0.62~1.28).

結 論

平均して,閉経後ホルモンを使用する女性の死亡率は非使用者より低い;しかし,長期間の使用では生存に対する利益は減少し,また冠血管疾患のリスクが低い女性では生存に対する利益が低い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1769 - 75. )