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日本語アブストラクト

February 13, 1997 Vol. 336 No. 7

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携帯電話と自動車衝突事故との関係
ASSOCIATION BETWEEN CELLULAR-TELEPHONE CALLS AND MOTOR VEHICLE COLLISIONS

D.A. redelmeier and R.J. Tibshirani

背景

運転中の携帯電話の使用は,衝突事故の原因となる可能性があると考えられているため,自動車内での使用を制限した国もあれば,そのような規制を検討中の国もある.われわれは,疫学的手法の一つであるケースクロスオーバーデザインを用いて,運転中の携帯電話の使用によって自動車事故が増加するか否かを調べた.

方 法

携帯電話をもっていて,自動車衝突事故に巻き込まれ,かなりの物的破損があったものの人身事故には至らなかったドライバー 699 人を調べた.事故当日とその前の週の各人の携帯電話による通話を,詳細な料金記録を用いて分析した.

結 果

14 ヵ月の試験期間中に,26,798 回の携帯電話による通話がなされた.携帯電話使用中の衝突事故のリスクは,携帯電話を使用していないときの 4 倍であった(相対リスク,4.3;95%信頼区間,3.0~6.5).相対リスクは,年齢や運転経験などの個人的特徴が異なるドライバーについても同様であった;衝突時間近くの通話はとくに危険であった(相対リスク,衝突事故の 5 分以内に切った通話について 4.8,これに対し衝突事故の 15 分以上前に切った通話では 1.3;p<0.001);ハンズフリー通話が可能な電話機(相対リスク,5.9)は,手で持って使用する電話機(相対リスク,3.9;p は有意差なし)と比較して,安全性上の優位性を示さなかった.ドライバーの 39%が衝突事故後に救急サービスを呼んでおり,携帯電話を所有していること自体は,事故後の状態では有利であったかもしれないことを示唆している.

結 論

自動車内での携帯電話の使用は,短時間の通話中における衝突事故のリスクの 4 倍増と関連する.しかし,そのような電話の規制に関して決定を下すさいには,技術がもたらす利益と,個人の責任の役割を考慮する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 453 - 8. )