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February 13, 1997 Vol. 336 No. 7

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冠動脈血管再生術の利用における人種間差 ― 人種差は本当か,そしてそれらは問題か?
RACIAL VARIATION IN THE USE OF CORONARY-REVASCULARIZATION PROCEDURES ― Are the Differences Real? Do They Matter?

E.D. Peterson and Others

背景

黒人は白人より冠動脈血管再生術を受ける回数が少ないことを報告する研究がある.しかし,患者の臨床特徴によってこれらの差が説明されるのか否か,または黒人での手術の利用が少なすぎるのか,もしくは白人での利用が多すぎることを示すのか否かは,明確でない.

方 法

冠動脈疾患患者 12,402 人(このうち黒人は 10.3%)に関する Duke 大学での研究において,われわれは,心カテーテル挿入後の黒人と白人における血管形成術とバイパス手術の未補正および補正実施率を計算した.また,疾患の重症度,狭心症の状態に応じて患者を分類した後の治療パターンについても調べ,さらに血管再生術による生存利益を推定した.最後に,黒人と白人の 5 年生存率を比較した.

結 果

疾患の重症度と他の特徴に関して補正すると,黒人は白人より血管形成術を受ける可能性が 13%低く,バイパス手術を受ける可能性は 32%低かった.これらの手術を受ける補正黒人:白人オッズ比は,それぞれ 0.87(95%信頼区間,0.73~1.03)と 0.68(95%信頼区間,0.56~0.82)であった.バイパス手術を受けた率における人種差は,重度の狭心症症状を有する患者においても(手術を受けたのは黒人の 31%に対し,白人では 45%;p<0.001),血管再生術によって最大の生存利益が得られると予測される人においても(42% 対 61%,p<0.001)存在した.最後に,未補正および補正 5 年生存率は黒人では白人より有意に低かった.

結 論

冠動脈疾患を有する黒人は,白人より血管再生術,とくにバイパス手術を受ける可能性が有意に低く,この差は疾患の臨床特徴によって説明できなかった.治療の差は,血管再生術によってもっとも効果が得られると予測される人でもっとも顕著であった.これらの差が黒人の低生存率にも関連したため,われわれは,黒人では冠動脈血管再生術を用いる頻度が少ないように思われるという結論に達した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 480 - 6. )