October 9, 1997 Vol. 337 No. 15
腫瘍壊死因子 α に対するキメラモノクローナル抗体 cA2 のクローン病に対する短期試験
A SHORT-TERM STUDY OF CHIMERIC MONOCLONAL ANTIBODY cA2 TO TUMOR NECROSIS FACTOR α FOR CROHN'S DISEASE
S.R. TARGAN AND OTHERS
動物試験およびオープンラベル臨床試験により,腫瘍壊死因子αに対する抗体,とくにキメラモノクローナル抗体 cA2 のクローン病の治療における役割が示唆された.
治療抵抗性を示す中等症~重症のクローン病患者 108 人において,cA2 に関する 12 週の多施設共同二重盲検プラセボ対照試験を実施した.全員がクローン病活動指数 220~400(スコアの範囲は 0~約 600 で,スコアが高いほど疾患の重症度が高いことを示す)であった.患者を無作為割付けして,プラセボまたは cA2 の 5 mg/kg 体重,10 mg/kg 体重,20 mg/kg 体重のいずれかの 2 時間静脈内注入を 1 回行った.臨床効果,すなわち主要エンドポイントは,4 週目の時点で,併用薬の変更を伴わずにクローン病活動指数のスコアが 70 ポイント以上減少していることと定義した.
4 週目の時点で,臨床効果が認められたのは,cA2 の 5 mg/kg を投与した患者の 81%(27 人中 22 人),cA2 を 10 mg/kg 投与した患者の 50%(28 人中 14 人),cA2 を 20 mg/kg 投与した患者の 64%(28 人中 18 人)であったのに対し,プラセボ群では患者の 17%(24 人中 4 人)であった(cA2 群全体とプラセボ群との比較に関して p<0.001).cA2 投与患者の 33%が寛解したのに対し(クローン病活動度指標のスコア 150 未満と定義),プラセボ群の患者では 4%であった(p=0.005).12 週目の時点では,臨床効果は cA2 治療患者の 41%(83 人中 34 人)に認められたのに対し,プラセボ群の患者では 12%(25 人中 3 人)であった(p=0.008).副作用の発現率は 2 群で同程度であった.
治療抵抗性を示す中等症~重症のクローン病の多くの患者において,cA2 の単回注入は有効な短期治療であった.