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November 20, 1997 Vol. 337 No. 21

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女性における食事による脂肪の摂取と冠動脈心疾患のリスク
DIETARY FAT INTAKE AND THE RISK OF CORONARY HEART DISEASE IN WOMEN

F.B. HU AND OTHERS

背景

特定のタイプの脂肪,とくにトランス不飽和脂肪の食事による摂取と冠動脈心疾患のリスクとの関係はなお明確でない.したがって,われわれは,看護婦健康調査に登録した女性におけるこの関係を調べた.

方 法

われわれは,1980 年に冠動脈疾患,脳卒中,癌,高コレステロール血症,または糖尿病でないことがわかっている 34~59 歳の女性 80,082 人をプロスペクティブに調べた.食事に関する情報をベースラインで得て,内容確認の質問書によって追跡期間中に更新した.14 年の追跡期間のあいだに,非致命的心筋梗塞または冠動脈心疾患による死亡 939 例を記録した.多変量解析では,年齢,喫煙状態,総エネルギー摂取,食事からのコレステロール摂取,蛋白および特定のタイプの脂肪から得たエネルギーのパーセンテージ,およびその他の危険因子を含めた.

結 果

炭水化物からの同等のエネルギー摂取と比べて,飽和脂肪からのエネルギー摂取量が 5%増加するごとに,冠動脈疾患のリスクは 17%増加した(相対危険度,1.17;95%信頼区間,0.97~1.41;p = 0.10).炭水化物からの同等のエネルギーと比較すると,トランス不飽和脂肪からのエネルギー摂取の 2%増加に関する相対危険度は 1.93(95%信頼区間,1.43~2.61;p<0.001)で;モノ不飽和脂肪からのエネルギーの 5%増加に関する相対危険度は 0.81 であった(95%信頼区間,0.65~1.00;p = 0.05);そしてポリ不飽和脂肪からのエネルギーの 5%増加に関する相対危険度は 0.62(95%信頼区間,0.46~0.85;p = 0.003)であった.総脂肪摂取量は冠動脈疾患のリスクに有意に関係しなかった(脂肪からのエネルギーの 5%増加に関する相対危険度は 1.02 であった;95%信頼区間,0.97~1.07;p = 0.55).飽和脂肪からのエネルギーの 5%を不飽和脂肪からのエネルギーと交換すれば,リスクは 42%減少し(95%信頼区間,23~56;p<0.001),トランス脂肪からのエネルギーの 2%を非水素化不飽和脂肪からのエネルギーと交換すれば,リスクは 53%減少するだろう(95%信頼区間,34~67;p<0.001),とわれわれは推定した.

結 論

われわれの知見は,女性において,飽和およびトランス不飽和脂肪を非水素化モノ不飽和およびポリ不飽和脂肪に置き換えれば,総脂肪摂取量を減少させるより冠動脈心疾患の予防に有効であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1491 - 9. )